P2 実態:チェーンメールの調査結果
チェーンメールの種類
チェーンメールの内容は様々なものがあります。当センターでは、提供されたチェーンメールの内容を分析し、以下の5つに分類しました。
幸福/不幸(の手紙)系
転送しないと不幸になる、あるいは幸福になるというもの。ホラー画像・動画が添付されたり、画像へのURLを本文中に含むものが多い。
このメールを回さなかった人が不幸になった、メールの逆探知を行っていて止めた人が分かる、などの文面に恐怖心をあおる画像を添付・リンクさせているなど。 |
◆ハッピーメール 転送をすると恋愛がうまくいったり、願いが叶うなど、良い事があるという内容。なかには、無料で待ち受け画像がもらえるというものもあるが、実際はいくら転送をしても「転送量を満たしていない」などの固定のメッセージが出るのみ。 |
善意の内容で積極的に友達に転送させようとするもの。 |
宣伝系
不幸の手紙をベースにしたものに、広告宣伝のためのURLを含むもの。リンク先へ飛ぶと、チェーンメールの内容に絡んだホラー画像や、携帯の待ち受け画像などが表示され、同一画面に業者のHPへのリンクを一緒に表示させることで、自サイトへ誘導する。出会い系やアダルト系サイトが多い。
携帯メールで使用できる絵文字に非公式な「裏絵文字」があるというチェーンメール。転送することで絵文字がもらえるとされるが、実際は絵文字が増えることはない。 |
心理テストのゲームと言って安心させ、文章を最後まで読むとチェーンメールといったものが多い。 |
転送しないと不幸なことが起きるというチェーンメールを書き換えて、自サイトの宣伝メールにして送ったもの。チェーンメール内のURLアドレスは同じように見えても書き換えられる場合があるため、興味本位でアクセスすると危険なサイトにたどり着くことがある。 |
これらのリンク先である出会い系等のサイトにとって、チェーンメールを転送してしまう若年層は、利用者としてだけではなく、いわゆる「ワンクリック詐欺」としても格好なターゲットです。不用意にリンク先をクリックして、おもわぬサイトにたどり着いたり、料金を請求されることないよう、注意が必要です。
募集系
募金や献血のお願い、ペットの飼い主探しなどの善意の内容や、テレビ番組の実験でチェーンメールを転送しているなど、受信者の良心を逆手にとって、転送させようとするもの。 電話番号を含むものがありますが、アダルト番組へ繋がったり、料金を請求されることもあるので、絶対に電話しないように気をつけてください。
◆テレビ番組の企画(鉄腕DASH!・トリビアの泉) テレビ番組の企画といつわって転送させようとするメール。実験競争中の企画で、後日放送するなどあるが、もちろん番組とは何の関係もない、ただのいたずら。 |
日付を指定し、有名駄菓子をコンビニでいっせいに買い占めようという内容。意図は不明。不発に終わることが多いのか、日付だけを変えたメールがしばらく続くことがある。 |
◆ペットショップ倒産のため、路頭に迷ったペットの里親を探しています 善意の内容で積極的に知り合いに転送させようとするもの等。 |
実際このような事実は存在せず、デマが大半なので、騙されないようにしてください。
誹謗中傷(嫌がらせ)系
個人的な悪意やいたずらで、ある人物や団体、事業者などを中傷するために転送させようとするもの。
営業妨害や名誉毀損(きそん)として法に問われることがあるので、面白半分に噂話を広げないようにしましょう。
その他
ワン切りの電話番号や、ウイルス情報などチェーンメールとして気づきにくいものが多い。
あなたはかける勇気がありますか。芸能人の携帯番号ですといった度胸試しのような内容。実際はかけてきた相手から料金請求するための電話番号で「ワン切り」などに使われているものが多い。 |
◆ウイルスメール ウイルスを送ったと偽り、リンク先のアドレスをクリックすると延々と画像を開かせて携帯のブラウザをフリーズさせたりして受信者を驚かすものがある。 |
チェーンメールの種類:グラフ
以上の5つの分類で、表にしたものが下のグラフ(左)です。
*右のグラフの削除済はサイトが既に削除されていた場合、その他はアダルト内容を含まないサイトへのリンクの場合
不幸の手紙系が78%と大半を占め、宣伝系13.1%、募集系8.8%、誹謗中傷0.1%、その他0%、と続いています。
しかし、リンク先のURLのみ抽出すると(右のグラフ)、全体で97.2%が出会い系・アダルト関連へのリンク先を含むことが分かりました。
また、平成17年度の統計と比較したグラフが以下となります。
グラフは、H17年7月~10月期間中のサンプル5千件と、H20年1月~12月期間中のサンプル1万件の本文を5種に分類した表(上)、及び宣伝系URLのリンク詳細(下)となっています。
3年の経過後、幸福・不幸(の手紙)系は61%から78%と、チェーンメール全体のほぼ8割を占める結果となりました。「オムライスメール」や、「僕の彼女を探してください」といった典型的な不幸系メールは3年前から流行していましたが、内容も改変され続けては、終息したかに見えても止まることはなく、今でも多く転送されています。
宣伝系については、H17年に34%あったものがH20年には13.1%と半減しています。しかし、相変わらず宣伝系のURLのアクセス先には、97.2%が出会い・アダルト系リンクを含んだサイトに繋がりますので、チェーンメールのURLにはアクセスしないように気をつけましょう。
募集系は急増しています。H17年に4%だったものがH20年に8.8%に倍増しているのは、特殊な血液型による献血の募集や、子供が店内で被害に遭うといった注意喚起、また、プロフ・バトンによるチェーンメールが増えているためと思われます。
献血や子供の被害については、このような事実や事件はありませんが、多くの人が身近にある話に脅威を感じ、親切心で知り合いに転送したために流行しました。人の善意を逆手にとって多くの人に迷惑をかけるチェーンメールに対しては、内容がどうあれ、回さないというのが最善の手段です。
現在最も懸念しているのはプロフ・バトンによるチェーンメールです。
学生の間で流行っているプロフやバトンは、自分のプロフィールや趣味について質問形式で回答していくもので、それがチェーンメールとして友達から回答が回され、自分もそれに回答し他の友人に回すといった形態となっています。
回答内容には、名前や学年、メールアドレス、時には顔写真まで添付して送るケースもあるため、転送され続けた結果、誰の手に渡り、どのように利用されるか回答者にはわかりません。インターネットは全世界に繋がっているため、友達同士や、仲間内で回すだけだと油断していると、知らない間にネットで公開され、個人情報がさらされるなど、思わぬトラブルが引き起こされるかもしれません。ネット上の書き込みと同じく、メールの文章も慎重に言葉を選び、大切な個人情報が悪用されないよう、一人一人が注意をする必要があります。
誹謗中傷(嫌がらせ)系・その他については減少しております。しかし、誹謗中傷のチェーンメールは大変悪質な内容で明らかなイジメの手段となっています。匿名で誰かを攻撃する卑怯な作成者に加担しないよう、受信しても絶対に転送しないようにしましょう。 (2009/2/26追記)
ポイント:チェーンメールのリンク先には気をつけて!
最近のチェーンメールの中には、単なるいたずら目的ではなく、迷惑メールに多くみられる、違法な広告宣伝としてのビジネスとして送られるものがあります。
このような送信業者により送られるチェーンメールには、「出会い系・アダルト系サイト」のアドレスを含むものが多数見られます。 サイトの利用や登録などは、不当請求など、思いがけない料金を請求される恐れがあるので、不用意にリンクをクリックしないように気を付けてください。
次ページでは、以上の実態を踏まえ、「どうして内容に関わらずチェーンメールを転送してはいけないのか」を紹介していきます。