【工事担任者の声 Vol.2】 「現場に出る仕事がしたい」と飛び込んだ職場が気に入って

「工事担任者」は、総務省所管の国家資格です。「工事？」、「担任者？」　初めて、この名前に接する人には、いったい何の資格なのか、よく分からないかもしれません。
　実は、ここで言う“工事”とは、端末設備などの電気通信設備と電気通信事業者のネットワークを接続する工事のこと。電気通信事業法、有線電気通信法などの法律や、それらの法律に基づく命令に準拠してネットワーク工事を行うには、工事担任者の資格が必要なのです。https://www.shiken.dekyo.or.jp/charge/about_charge.html

工事担任者が、実際にどのような仕事に従事しているのか、工事担任者はどんな人たちなのか。様々な分野や組織で働く彼らの生の声を紹介します。

どんな仕事かよく分からないままに「現場に出る仕事がしたい」と飛び込んだ業界

岡本悠さんは京都市立洛陽工業高等学校を卒業し、2018年に京都市に本社を置く大和電設工業㈱に入社しました。大和電設工業は、昭和26年に創業以来、およそ70年の歴史を数える関西老舗の電気通信工事会社。京都府を中心に滋賀県、大阪府など関西地場産業のITインフラを支え続け、戦後の電気通信の歴史とともに発展してきた会社です。現在は初代社長から数えて三代目の栩谷泰輝社長が、「情報通信」「ICTソリューション」「電気設備」の３つの事業を柱にさらになる成長を目指しています。

岡本さん、電気通信の仕事がしたかったのかというと、必ずしもそうではなかったようです。

「どうして通信関係の仕事を選んだのですか？」という質問に対する岡本さんの回答は、「入口は、実はそこ(通信関係の仕事)ではないです(笑)。」だったのです。見事に肩透かしを食らいました。

「入社前は、大和電設工業がどんな仕事をする会社なのか、はっきりとは分かっていなかったです。」とおっしゃるのですから、人を食っています。茶目っ気たっぷりな笑顔が岡本さんの表情に浮かびました。

「実は、ずっと部屋に閉じこもる仕事がいやで、“現場に出る仕事がしたい”と考えていました。“現場に出る仕事”ができる会社がどこかを探し、その中から今の会社を選びました。」

高校の先輩が何人もいる安心感も就職の決め手になったのだそうです。

そんな風にして選んだ会社、選んだ仕事が今ではとても気に入っているのですから、「瓢箪から駒が出る」を地で言っていると言ってよいのではないでしょうか。

電話がつながる仕組みに感嘆

そんな岡本さんが働くのは、同社のシステム技術部。敷設工事を行う技術1課と保守を受け持つ技術2課に分かれており、岡本さんは技術1課で電話工事を担当するグループに所属しています。

「お客様は京都市内をはじめ、京都府・滋賀・大阪等の事業者様で、病院、大学、銀行、一般企業など様々です。オフィス内の交換機、電話機やFAXの設定、配線工事などを行います。私が働くシステム技術部技術1課で一度設備を入れると、その後には保守が必要になるので、そこをシステム技術部技術2課がサポートします。」

関西では業界で名の知れた存在の大和電設工業。お客様には名前を聞けば地元で知らぬ人はいないようなビッグネームがたくさんいらっしゃいます。そうした企業、団体には内線電話やFAXが当然たくさん入っているわけですから、岡本さんの仕事は責任重大と言っていいでしょう。

「何気なく使っているだけの存在だった電話の接続がどのように行われるのか、大きい会社でたくさんの電話番号があるのをどのように振り分けているか、といった仕組みが理解できてくると、新鮮というか、“そうやったんや！”という発見の喜びがありますね。」

やはり工業高校のご出身。そう答える岡本さんの表情にエンジニアの素顔がのぞきます。

段取りの難しさ、重要性に気付く

しかし、エンジニアにとっては技術がすべてではありません。お客様とのコミュニケーションは岡本さんが当初苦労し、だからこそ身についてきた能力であるようです。

「今は仕事の段取りが難しいと感じています。電話は止めることができないので、工事ができる時間帯がお客様によって違っていたりします。」

段取り、交渉、コミュニケーション。それらが伴っての技術なんですね。

「ネットワークの仕組みとともに、次第に仕事の流れが分かってきました。現場に行って、最初に何をしなければならないか、その次に何をするべきかを考え、組み立てることが自分でできるようになってきたと感じます。最初の頃は何も分からず、見たり、訊いたりして、指示に従うだけでしたので。」

社員の資格取得に熱心な大和電設工業で、岡本さんの技術力、お客様とのコミュニケーションの能力には、さらに磨きがかかるのではないでしょうか。