【工事担任者の声 Vol.1】 インターネットが使えるようになる瞬間に達成感があります

「工事担任者」は、総務省所管の国家資格です。「工事？」、「担任者？」　初めて、この名前に接する人には、いったい何の資格なのか、よく分からないかもしれません。
　実は、ここで言う“工事”とは、端末設備などの電気通信設備と電気通信事業者のネットワークを接続する工事のこと。電気通信事業法、有線電気通信法などの法律や、それらの法律に基づく命令に準拠してネットワーク工事を行うには、工事担任者の資格が必要なのです。https://www.shiken.dekyo.or.jp/charge/about_charge.html

　工事担任者が、実際にどのような仕事に従事しているのか、工事担任者はどんな人たちなのか。様々な分野や組織で働く彼らの生の声を紹介します。

地元企業に勤め、地域にインターネットを届ける

工事担任者である高野さんのお仕事は、一言で説明するとインターネットを家庭や会社で使えるようにするための配線をする仕事です。

「お客様は、ＮＴＴ東日本を始めとした各通信キャリアの提供する設備を使用しＩＴサービスを受けています。こうしたサービスを提供するための設備を、各社はＮＴＴ東日本から借り受けており、工事の発注がＮＴＴ東日本などから当社に来ます。私はその設備となる電柱からお家まで線を引いたり、集合住宅の壁を配線したり、ビルの天井の裏を配線したり、様々な現場で作業しています。」

インターネットを家庭や会社に届けるための、最後の配線を担う仕事に従事しているのが高野さんというわけです。たぶん、色々な苦労やノウハウがあるはずですが、高野さんは、「例えば、」と次のように話をしてくれました。

「お客様が会社だと、オフィスの様子によって配線の仕方はかなり異なります。作業をしてみて、通せると思っていたところが通らないと、違うルートを探したりしなければなりませんし、場合によっては、いったん工事をやめて、再度調査に入ることもあります。次のお客様に伺う時間も決まっているので、時間を考えながら判断をしていく必要があります。」

高野さんは、長野県長野工業高等学校の情報工学科で学びました。情報工学科のカリキュラムはプログラミングなどコンピュータ関連の知識がメインになるのですが、たまたまインターンシップでNTT東日本の職業体験をする機会があり、ネットワークの仕事に惹かれるものがあったのだそうです。「ですので、入社した時から工事の現場に出て仕事をしたいと考えていました。」と語る高野さんの瞳には強い意志が覗いて見えました。

最初の工事担任者の資格は、高校生時に“ほぼ独学・独習”で取得！

情報技術を教わる部活動にも入っていたといいますから、高野さんの勉強に対する前向きな姿勢は、おのずから見て取れます。当時の部活顧問の先生から「工事担任者という資格があるよ」と教えられた高野さんは、1年生の時に工事担任者DD3種（現在の「第二級デジタル通信」に相当）を取ってしまったのです。個人で勉強を始め、個人で受験をし、受かったのです。なんとすごい！

「情報科や電気科の先生に教えてもらったりしながら勉強し、取得しました。同じクラスで受ける人はいないので、今思うとすごいですね（笑）。3年生には2回目のチャレンジでDD第1種（現在の「第一級デジタル通信」に相当）を取得しました。工業高校って、「ジュニアマイスター顕彰制度」に取り組んでいて、試験の結果が校内に貼り出されるのも頑張れた理由です(笑)。」と屈託なく話していただいたが、並々ならぬ決意と努力があったはずです。

高校時代の成功体験は大事

高野さんは入社後、工事担任者の最上位資格である「総合通信」を取得していますが、高校生の際に工事担任者試験に取り組んだことを、とても大事な経験と捉えています。

「高校生のうちに資格を取っておくのは絶対にプラスになります。一度取り方がわかると、他の資格も同じ要領で取れたりしますし、そこで成功体験を得ることは大事ではないでしょうか。私の場合、DD第3種は「本当に取れたらすごいな」くらいの気持ちでやりましたが、DD第1種の時は、持っていれば就職にも絶対に有利だと思って頑張りました。」(高野さん)

「最初は何もなかったところに線を引いて、最終的にインターネットが使えるようになる瞬間に達成感があります」と語る高野さん。これからも工事担任者として長野県の情報科を支えていくはずです。