令和4年「情報通信エンジニア」優良団体表彰模様(企業の部)

 今年も「情報通信エンジニア」優良団体表彰の時期がやってまいりました。
 工事担任者、無線従事者、電気通信主任技術者などの国家資格の有資格者の知識や技術の向上を支援するための制度が情報通信エンジニア委員会(事務局:日本データ通信協会)の「情報通信エンジニア」です。
 報通信エンジニア委員会では情報通信エンジニアの育成と資格取得を支援している団体を「通信エンジニア優良団体」として毎年表彰しており、今年も企業5団体、学校3団体が受賞しました。企業の部で受賞した5社を訪問し行われた表彰の模様をご紹介します。

第1位:NECネッツエスアイ・サービス株式会社(資格者数138名)

左より細名厚雄社長、一人置いて中村康雄主任、伊藤竜司地域本部長、宮本昌樹ソリューションサービス本部長

 昨年度、細名厚雄社長ご自身も先頭に立って資格を取得していただき、「情報通信エンジニア優良団体表彰」で初めて名乗りを上げたNECネッツエスアイ・サービス様ですが、その後も本資格取得を全社に向けてご推奨いただき、令和4年は大挙138名の認定者で全国1位の座に躍り出ました。企業の部、高校の部を併せ1団体で年間100人以上の資格者を出すのは本制度が始まって以来のことです。ネットワークインフラ、IPテレフォニー、移動体通信など様々な通信インフラの施工、構築、保守、運用に携わり、我が国のICTを全国各地で支える同社でのご利用拡大は「情報通信エンジニア」制度を推進する事務局にとって大きな喜びであり、支えでもあります。

 そんな感謝の意を携えて本年も本社にお邪魔し、意見交換と表彰状の授与を行いました。

 昨年度は、本制度の全社的な利用をご提案いただいた地域本部西日本サービス部の谷和信部長に表彰状をお受け取りいただきましたが、今年は、18年続く「情報通信エンジニア」で、制度開始2年目よりなんと16年間にわたって資格を取得なさっているという地域本部東日本サービス部甲信越フィールドセンターの中村康雄主任に新潟市よりお越しいただき、表彰状授受を受け持っていただきました。

会社を代表し、中村康雄主任に表彰状をお受け取りいただきました。

 延べ約250以上の工事担任者が勤務し、また2020年12月より「情報通信エンジニア」の対象資格ともなった無線従事者も多数抱えるNECネッツエスアイ・サービス様では、今後も「情報通信エンジニア」を技術者教育の要の一つとして、ますますご利用を拡大していくご意向とのこと。来年の表彰を今から楽しみにしたいと思います。

細名厚雄代表取締役社長(左)と日本データ通信協会専務理事の髙嶋幹夫

第2位:扶桑電通株式会社(取得者数73名)

左よりエンジニアリング本部第一エンジニアリング統括部ネットワークシステム部長の八重嶋孝一氏、コーポレートイノベーション本部人材育成推進室長の佐藤伸行氏、一人おいて執行役員エンジニアリング本部長の上地浩夫氏、エンジニアリング本部本部長代理の間宮伸之氏

 「情報通信エンジニア」制度を企業の技術者教育に組み入れて活用いただく企業様の代表格が扶桑電通㈱様と言って差し支えないでしょう。「情報通信エンジニア」開始の初期から長く本資格をご利用いただき、あまつさえエンジニアリング本部の石川守雄氏には「工事担任者スキルアップガイドライン委員会」のWG委員として「情報通信エンジニア更新研修テキスト」の作成に6年間にわたってご参画いただきました。

 その扶桑電通様からは今年も昨年を超える73名の資格者をお出しいただきました。

 「昨年も申し上げたように、社内の人材スキル認定制度の中で「情報通信エンジニア」を最初に取るべき資格として整理しましたので、今後も資格者は維持していくつもりです。」と執行役員エンジニアリング本部長の上地浩夫氏はおっしゃいます。ぜひ、末永くご利用いただけるよう私どもも微力ながらご支援を続けていく所存です。

上地エンジニアリング本部長(右)と日本データ通信協会専務理事・髙嶋幹夫

 表彰の際に行われた意見交換会では、話題はいきおい教科書にも及びました。2020年12月から工事担任者に加えて、電気通信主任技術者と無線従事者をお持ちの方が取得できるように制度を改正した「情報通信エンジニア」では、無線関係のコンテンツを充実する方向に向かっています。

 上地本部長には、「無線系の業務は、端末としてスマートフォンを利用するケースが多くなっていて、端末とネットワークをつなぐチューニングには私どもも苦労するところではあります。ですので、無線関係の情報を掲載していただくことはとてもありがたいと考えています。」とご賛同をいただきました。

 端末があらゆるネットワークにつながる時代、エンジニアの皆様の知識を磨く制度として、扶桑電通様には「情報通信エンジニア」のますますのご利用をお願いしたいと存じます。

第3位:株式会社TOSYS(資格者数67名)

笠井澄人社長(左)と日本データ通信協会専務理事・髙嶋幹夫(右)

 昨年同時期には66名の資格者をご登録いただき資格者第1位を獲得した㈱TOSYS様には、今年も登録67名のご利用をいただきました。42名、58名と毎年利用を増やしていただき、社内教育のツールとして安定したご利用をいただき続けています。昨年度からは社員が取るべき資格の一つにも認定していただいています。

 TOSYS様は、甲信越を事業エリアに、有線・無線を含む電気通信工事からクラウドソリューションの提供まで幅広いICT分野で活躍する企業です。上越妙高駅前で「JM-DAWN(ジェーエム・ドーン)」と称するローカル5Gを活用した先進オフィススペースのコンソーシアムに参画するなど、新しい技術への取組みも怠りありません。

「低遅延を売物にしている5Gですが、やはり遅延の低さは驚くほどです。新潟と上越の会場を結んでチアリーディング教室を行うのですが、新潟の先生が指導して上越の子供たちに運動をやらせると、遅延がないので同じ動きが同時にできるのです。Wi-Fiではルータなどを媒介し数百ミリセカンドの遅延が発生しますので、見ている方はあれっ?となってしまいますが、5Gではそんなことは起こりません。素晴らしいものです」とおっしゃるのは笠井澄人社長です。

 私どもの「情報通信エンジニア」も、従来の工事担任者に向けた資格から間口を広げ、電気通信主任技術者や無線従事者も資格対象者に加えました。教科書には5Gに関する記述を充実するなど新しい技術を習得するエンジニアの皆様にとって価値ある資格でありたいと考えており、先端を目指すTOSYS様が進む方向に向けて、ともに歩んでいきたいと考えています。

左よりビジネス推進本部品質工法部長の中島敏夫氏、笠井澄人社長、一人おいて執行役員ビジネス推進本部長の上原邦明氏

 笠井社長はおっしゃいます。

 「現在の電気通信の世界は、事務系社員、技術系社員の別なく、基本的な技術についても法律についても理解をしていなければ務まらないと思います。セキュリティに関する知識も常に求められます。現場はそうなってきていますから、「情報通信エンジニア」にも、やはりセキュリティが必要になる時代がすぐそこに来ているのかもしれません。」

 新しい知識の必要性と同時に、エンジニアにとって基礎的な資格である工事担任者や「情報通信エンジニア」に対する信頼も語っていただきました。

 「光回線の工事が減っていますので、工事担任者の需要は一時期に比べると減ってはいますが、工事担任者資格の取得は引き続き新入社員の義務にしています。弊社の基礎となる資格ですので、「情報通信エンジニア」ともども力を入れていきます。」(笠井社長)

笠井澄人社長(右)と上原邦明ビジネス推進本部本部長(左)

 ビジネス推進本部の上原邦明本部長も工事担任者の技術向上の必要性をおっしゃいます。

 「工事担任者にとって、技術のフォローは大事だと思います。これほどまでに技術は変わってきていますが、社員と話をすると、そのことに気づいていない者が少なくありません。そのあたりについて社員と語っていく必要があるのではないかと感じています」

 「情報通信エンジニア」が、時代に即した知識の習得に力を注ぐTOSYS様のお役に立てる資格としてあり続けられるよう、私どもも精進して参りたいと考えています。

第4位:株式会社ベータテック(資格者数58名)

左より大橋貴美雄取締役、一人置いて大竹丈夫社長、大竹佳子取締役

 1998年に電波学園の教員だった大竹丈夫社長が創業した株式会社ベータテックは、大手携帯電話事業者の基地局設置や保守、点検・検査など無線系の事業を主力にしており、社員の多くが無線従事者の国家資格を取得しています。同時に工事担任者も数多く取得しており、そのご縁で技術者の教育に、毎年「情報通信エンジニア」をご活用いただいてきました。

 令和4年は有資格者数58名と、いつにも増して多くの社員の皆さんに「情報通信エンジニア」をご活用頂きました。

 というのも、昨年11月に令和3年の表彰でベータテック様にお邪魔した際に、「今年から無線従事者にも「情報通信エンジニア」をご活用いただけます」というお話を私どもから差し上げたところ、早速、同社で無線のお仕事をしているエンジニアの皆様にもご活用いただいたという次第です。その結果、例年30人台だった同社の「情報通信エンジニア」有資格者数は倍増となりました。

 ベータテック様は、保守・工事・設計等の業務に加え、2本目の事業の柱として第1級から第3級の陸上特殊無線技士、第1級から第3級の海上特殊無線技士の無線従事者養成課程を実施しており、この度「航空特殊無線技士」も認可されたとのことです。そうしたことから、「情報通信エンジニア」のみならず、日本データ通信協会が実施する工事担任者試験の事務局業務にもご関心と信頼をお寄せいただいています。

 今年の表彰の際に行われた意見交換会においても、電気通信分野の有資格者養成、エンジニア育成の分野について、昨今の様々な動向に花が咲きました。

意見交換会の一コマ。大竹丈夫社長(左)と大竹佳子取締役(右)

第5位:大和電設工業株式会社(資格者数38名)

栩谷泰輝社長(右)と日本データ通信協会専務理事・髙嶋幹夫(左)

 1952年の設立以来、電気通信設備事業者として地元のニーズに根ざした事業を重ね、70周年を迎えた関西電気通信業界の老舗企業が大和電設工業株式会社です。同社は栩谷泰輝(とちたに やすき)氏が三代目の社長に就任して3年目を迎えます。栩谷社長のリーダーシップの下、「情報通信」「ICTソリューション」「電気設備」の3つの領域を事業の3本柱と位置づけ、京都、滋賀、大阪を中心とする関西一円で更なる飛躍を遂げようとする姿勢には目覚ましいものがあります。

 しかし、これまでと変わらないのは人材育成に対する厚い取組み。先代の栩谷晴雄社長は、かつてデ協のインタビューで、「私どもの規模で、ここまで資格を取らせている事業者は少ないようです。京都市がある実態調査をした際に、当社にいらした調査官が、「たいへん失礼なことを申し上げますが、資格を取っている方が本当にここまでいらっしゃるとは思っていませんでした」と驚いていたことがあります」と語っていただきましたが、資格の取得に微塵も躊躇がない同社の姿勢は、現在に至るまで変わることなく貫かれています。

 工事担任者有資格者の技術を磨く一貫としての「情報通信エンジニア」を利用し続けているのも、その端的な表れでしょう。令和4年も昨年同様38人の「情報通信エンジニア」資格者を数えています。

栩谷泰輝社長には「情報通信エンジニア」について次のように語っていただきました。

「情報通信の世界の発展スピードは目まぐるしいものがあり、専門資格の必要性も高まってきております。その中で知識的な偏りを起こしてしわないように、様々な通信分野での知識に目を向ける、視野を広げるという意味で本資格を活用していければと思います。」

渡辺卓也執行役員(左)と栩谷泰輝社長(右)

(注)資格者数は2022年9月末時点の集計値です。