新年に寄せて(2023年)

一般財団法人日本データ通信協会
理事長 祖父江和夫

 明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、新春を晴々しい気持ちでお迎えのこととお慶び申し上げます。日本データ通信協会は、今年、おかげさまで設立50周年という節目の年を迎えます。これまで弊協会の活動を支援し、支えていただいた皆様に厚く御礼申し上げるしだいです。

 昨年を振り返ってみますと、地球全体に大きな影響を与える出来事がいくつかありました。まず、ロシアのウクライナ軍事侵攻です。エネルギー輸出国であるロシアから原油や天然ガスの供給が滞ったことから、世界的にエネルギー関連の価格が高騰しました。インフラの価格が上がることによって、農林水産業を含む多くの産業で生産、輸送コストが上がり、物価高騰につながっています。地球の一部でバランスがくずれると、地球上の至る所でその影響がでる。地球上に存在する物はみな連鎖しており、その連鎖反応速度が近年、極端に速くなってきていると感じます。

 新型コロナウイルスの感染が始まってから、3年になります。それまでテレワークはごく一部の人しか実施していませんでしたが、感染対策が必要になったことから、一気に社会全体に広がりました。日本はデジタル化が遅れていましたが、コロナ禍に対応するために、非接触型の生活が必要とされ、スマホのアプリ開発も進んで、バーコード決済、LINE、SNSといった新しい文化が根付きました。また一方で、大人数でのリアルなパーティーは姿を消し、電話よりもメールやSNSで会話をするといった、非対面で間接的、かつリアルタイムではなく蓄積系でというコミュニケーション手段が、特に若い人々を中心に圧倒的に増えつつあります。

 サッカーのワールドカップ2022カタール大会では、日本はベスト8には残れなかったものの、すばらしい成績と感動を日本国民はもとより、世界中に与えました。ゴールラインやオフサイドの判定において、VAR(Video Assistant Referee)が活用され、映像解析技術の進歩の片鱗をスポーツの世界でも垣間見ることができました。

 このような急速な変化は数えきれないほどありますが、情報通信分野に携わっている者からすると、こうした変化に対応し、また将来の変化を見通してやらなければならないことも山ほどあることに気づきます。エネルギー問題は、電気通信設備が大きな負荷を与えていることから、ネットワーク、端末、クラウドサーバー、データセンター等関連する機器を大胆に省電力化し、地球規模での脱炭素化に貢献することが求められます。日本の強みは「光の技術」が最先端であること。既に通信インフラとして光ファイバーは全国に張りめぐらされ、ポテンシャルの高いネットワークが構築されています。さらに今後、新しい光技術による次世代の光ネットワークが構築されれば、今までの通信では困難であった距離と時間を克服する新たなアプリケーションも可能になる時代がくるでしょう。

 しかし、こうした進歩の裏側には、常にセキュリティや悪質なハッカー等、負の問題がつきまといます。人々が、安心安全に通信を利活用できるようにするため、弊協会は今年も国家試験や講習、情報通信エンジニア、迷惑メール対応、個人情報保護の推進、トラストサービス推進等を通じて、今まで以上に協会の役割を担ってまいりたいと存じます。最後に、皆様の今年一年のご多幸と事業のご発展を祈念するとともに、弊協会に対する引き続きのご支援をお願いしまして、新年のご挨拶といたします。本年もどうぞよろしくお願いいたします。