一般財団法人日本データ通信協会
理事長 祖父江和夫
謹んで新春をお祝い申し上げます。旧年中は関係の方々に格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。あらためまして弊協会の活動をご理解、ご支援いただいている皆様に厚く御礼申し上げます。
さて、昨年を振り返ってみますと、パリオリンピック/パラリンピックや大谷翔平選手の50-50達成や2年連続3回目のMVP獲得等、明るい話題もありましたが、ウクライナ軍事侵攻、ガザ地区の紛争、国内では新年の能登半島地震や、夏の猛暑といった自然の猛威、闇バイトによる犯罪の横行等負の話題、衆議院選挙や米国大統領選挙による政治体制の変化等いろいろなことがありました。またこうした動きの背景として、基盤となる情報通信が社会や人々の生活にますます大きな影響を与えていることを実感する1年だったと思います。
特に2003年頃に始まったSNSは、今やだれもが持ち歩き、瞬時に地球規模での情報拡散を可能とするツールになっており、拡散された情報が誤情報の場合には、社会に大きな悪影響を及ぼすことが問題となっています。例えば紛争/戦争や選挙戦においても、関係者を誤った方向に誘導する偽情報やプロパガンダを流し、それが世論に影響しているといった報道もあります。つまり情報が正しいか否かは、受け取る側でしっかり見極めなければならない時代になっているということだと思います。
もうひとつの特筆すべき最近の動きは、生成AIの利用拡大です。こちらも参照するデータベースに誤情報や古い情報が蓄積され、情報の質が悪い場合には、それを用いた結果もおかしくなるので、注意が必要です。生成AIを使った創作も可能になってきたので、試しにデ協の新年のご挨拶文を生成AIで作成してみましたが、それなりにはできるものの、やはり的はずれなご挨拶文になってしまいました。AIの利用拡大に合わせて進化しているのが音声認識で、いろいろな情報検索の入力はキーボードを叩くのではなく音声入力によることが増えました。またAIからの出力にも映像と音声によるアバターが導入され、あたかも人間と会話しているような自然な感覚でAIと対話できるようになってきました。ICTを使いこなす人(主に若者)と使えない人(主にお年寄り)でできることのギャップが大きいという問題も、こうした入出力機器の進化が埋めてくれつつあり、今後も新しい技術が人にやさしく、多くの人の生活を楽しく豊かにするために使われることを期待するしだいです。
情報通信を取り巻く環境は今年もさらに大きく変化すると思われますが、日本データ通信協会は、情報通信の未来を担う「情報通信分野における人材育成」と情報通信の環境を守る「情報通信セキュリティ対策」を柱に、健全な高度情報ネットワーク社会の実現に資する事業を進めてまいりたいと考えます。皆様の引き続きの当協会へのご指導、ご支援をお願い申し上げますとともに、この一年のご健勝とご多幸を祈念し、新年のご挨拶といたします。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。