【工事担任者の仕事Vol.14】指示を出す立場だからこそより一層の知識習得を大切にしています

JCOM 株式会社
技術サポート本部 工事オペレーション管理部 システム運用グループ
高梨 安希子(たかなし あきこ)さん

 JCOM株式会社では、ケーブルテレビやインターネット、固定電話などの通信サービスの他、電力やガスや保険などのサービスも行っています。ケーブルテレビ会社に入社した高梨さんは、電気電子系学校の出身ではないこともあり右も左もわからないことだらけでした。「現場へ指示を出す立場では現場の人以上に知識を持っていないといけない」という心構えが資格取得を促し、異動後の新しい仕事における数々の苦労を乗り越える原動力となりました。

~通信事業会社で電力の仕事を~

-工事オペレーション管理部のシステム運用グループとはどういった仕事をされている部署なのですか?

 JCOMサービスの工事全般における運用オペレーション構築に携わる部署で、新規運用の構築や既存運用の変更に対して、工事関連システムの保守・改修の対応から配布物や在庫調整など多岐に渡る業務をするチームになります。その中で私は電力に関するサービスの運用を担当しています。
 JCOMでは、低圧電力に比べより割安な高圧電力を引き込める設備等を一括で提供するサービスと、JCOMが仲介業者となって低圧電力を提供するサービスをお客様にお届けしています。

-最近の電力供給システムでは通信設備やサービスも関係しているのですか?

 はい。電気メーターや電力設備を設置して電力の見える化サービスや検針業務などを行いますが、データ収集のために通信回線が必要となるので、建物にデータ収集用の装置を設置したり回線を引き込んだりするなどネット環境の整備も行います。

~美容の世界からケーブルテレビ業界へ~

-高梨さんは2014年にJCOMに入られていますが、入社当初も電力の担当だったのですか?

 いえ、実はもともと美容師を目指して美容学校を卒業したのですが、美容師を辞めてジャパンケーブルネット(JCN)というケーブルテレビ会社に転職しました。そこでケーブルテレビの技術系の仕事をしまして、2014年に合併したJCOMの社員となりました。

-美容師からいきなり技術系の仕事に変わったのですか!かなり苦労されたのではないですか?

 最初の配属は、ケーブルテレビを契約したお客様宅への設置工事を協力会社に発注して指示を出す部署で、現場からの相談を受けたり、協力会社とお客さまとの間の橋渡しをしたりする仕事でした。技術的なことは全く知らない状況だったので、入ってすぐは大変でしたね。当時は研修などなく、「習うより慣れろ」という状況でした。
 最初の頃はなにもわからなかったため、例えば現場にいる協力会社の方からネットが立ち上がらないという連絡がきたら、グループの先輩に「こんなこと言われました」と伝え、その対応のために先輩がどういう指示を出しているのか聞いたりしていました。だんだんと協力会社の方とも仲良くなってくるので、「ここでこういうことがあったらどうしているのですか?」と積極的に聞いたりして自分の知識を増やしていきました。

-当初は専門用語などもわからず大変だったかと思いますが、仕事以外にいろいろ勉強されたのですか?

 いえ、全然。(笑) わからない用語が出てきたらその場でインターネットを使って検索していました。
 いつ仕事に自信が持てるようになったか定かではないですが、新入社員だった私が半年くらい経って「時給あげてください」と言ったので、その時には一通り仕事ができると自分でも思ったのだと思います(笑)

-何か印象に残っている経験はありますか?

 現場にいる協力会社の方から「お客様が帰らせてくれない」といったSOSの連絡があったときは、対応の仕方や謝罪などで大変でした。そんな時は現地に応援者を派遣しましたし、女性が会話するとお客様も一度クールダウンするときもありますので私が電話で対応したりもしました。
 よかったことは、解決したときにお客様から「ありがとう」といってもらえることですね。うれしいし、やったなやりきったなという気持ちになります。

-JCOMに入られてからのお仕事は?

 入ってすぐはJCNの時と同じで、住宅向けのケーブルテレビの配線工事や機器の取り付けなどを行う宅内工事のチームに配属されました。
 現場での作業経験がないため指示を出すことは難しいのですが、JCOMではコネクタや保安器など現場で扱う設備を疑似的に作る研修や工事のシミュレーションを行う研修などがあり、これらの研修を通して現場の内容を理解しました。

-今の電力サービスのお仕事は希望を出されたのですか?

 いえ、希望は出していないです。JCOMに入ってからも千葉で勤務していましたが、2020年に熊本へ異動となりました。関東に帰りたいと希望を出したところ戻れたのですが、戻った先は電力サービスのグループでした。
 電力サービスの仕事も初めてだったので、単語も仕事の流れも何を誰に聞けばよいかもわからないという状態で、インターネットを使って検索したり同じチームのメンバーに教えてもらいながらの一からのスタートでした。仕事全体がわかるようになったのは1年ぐらい経ってからです。

~資格取得の目的は仕事で必要な知識習得と報奨金~

-工事担任者資格はいつ取りましたか?

 JCOMに入ると目標が設定されている資格を取りました。工事担任者資格は宅内工事の指示を出す際に必要な知識を得られるということ、合格すると報奨金がもらえるということもあり受けてみようと思いました。
 最初は入社3年後の2017年にDD第三種を取り、次にAI第二種を取りました。段階をおいて少しずつ知識を増やそうと思い取りました。その後、上位の第一級デジタル通信、第一級アナログ通信を取り、合わせて総合種を取得しました。

-試験は3科目ありますが1回で合格されたのですか?

 はい。学生時代は美容師学校に行きましたが、高校では理数系のクラスにいて数学が得意だったということもあり、すべて1回で合格しました。勉強した期間はだいたい1か月ほどでした。通勤が長かったので電車の中で教科書を読み、家に帰って過去問題を1日2時間くらい集中して解いていました。過去問題でわからない問題があるとYouTubeで回答を解説している動画をみていました。

-工事担任者以外でお持ちの資格はありますか?

 美容師免許、期限は切れてしまいましたが損害保険募集人資格、乙種第4類危険物取扱者資格、簿記3級、家電製品アドバイザーを持っています。危険物取扱者は会社からの報奨金は無かったのですが、今の電力関連の仕事では消火器点検もやっており、消防関連の内容がある乙種第4類を勉強しておこうかなと思い、去年取りました。
 同僚から「これ取りやすいよ」とか「取っておいた方がいいよ」とか「こういう内容の資格だよ」ということを聞いて取っています。今後は難しいかもしれませんが電力系の仕事をしていることから電気工事士も取りたいです。実技があり手が震えてしまわないか心配ですが(笑)

-工事担任者の資格は実際に工事をしている人が取ればよい資格で、高梨さんのように工事の指示をする人は取らなくても法令違反にはなりませんが、なぜ資格を取ったのですか?

 現場で作業するわけではないので資格を持っていなくてもよいのですが、協力会社の方々は現場で学んでいることが多いじゃないですか。ただ、関連する法令に関しては指示する側もやってはいけないという指示を出せるだけの知識を持っていないといけません。むしろ現場の方より詳しく知っておくべきで、ちゃんと指示出しができるようになりたいという思いがあり、そのためには工事担任者の資格がよいと思い取りました。

通信業界に入ってよかったことを教えてください。

 通信の知識が身に付くので自分の家のテレビ配線などは自分でやりたいように配線できるようになりました。(笑)
 インターネットとかには疎い人間でしたが、この業界に入ると通信関連の情報に触れられるし、周りの仕事仲間にはスマホなどにも詳しい人が多く、私が困ったときに助けてくれます。そんな中で仕事をすると業界以外の人に比べて知識は多くなるので、プライベートの仲間などに教えたりすることができます。
 知識を得るためには資格取得の勉強をすることも大事です。私自身は入社してから資格を取得したのですが、覚えが悪く苦労したので若いうちに取っておく方がよいと思います。それに今は終身雇用時代でもないので、自分の可能性を広げるのに資格はとても役に立つと思います。何より履歴書に書けるのも強みになると思うし、若い時の記憶は、時間が経っても覚えていることが多いです。

-ありがとうございました。

【DATA】

  • 企業名:JCOM株式会社
  • 本社所在地:東京都千代田区丸の内1-8-1
          丸の内トラストタワーN館
  • 設立:1995年1月
  • 事業内容:・ケーブルテレビ局の統括運営を通じた
          有線テレビジョン放送事業及び電気通信事業
         ・ケーブルテレビ局及びデジタル衛星放送向け
          番組供給事業統括
  • URL:https://www.jcom.co.jp/