
JCOM 株式会社
技術サポート本部 ヘッドエンド運用部 放送通信運用グループ
馬場 啓大(ばば よしひろ)さん
今回は、ケーブルテレビやインターネット、固定電話などのサービスを全国5大都市圏で事業展開しているJCOM株式会社にお邪魔しました。入社6年目の馬場さんはお客様宅でのケーブルの配線や関連機器の設置といった現場工事や、九州地区の光回線の新規導入業務などを経て、現在は本社にある事業者設備を管理運営する部署にいます。各種資格を入社後に取りましたが、資格取得で得た知識は仕事にも活かせていると語ります。
~いろいろなことをしたい思いで通信事業者へ~
-馬場さんは大学を卒業されてJCOMに入られたのですね。
ちょうど私が高校生の頃にスマホが普及し始めてテレビドラマにも出てきた通信系に興味を持つようになったことで、理工学部の情報科に入学しました。大学ではプログラミングの勉強をしたのですがあまり得意ではなく、プログラミングを仕事とする会社はやめようと思いました。でも人のために何かしたいなと思ったのと、通信業界であれば大学で学んだ情報関連の知識も活かせると思ったこと、また常に新しいことに取り組みたいという自分の性格もあり、幅広くビジネスをしている会社がいいなと思いJCOMに入りました。
-入社した時はどんなお仕事を?
出身は横浜なのですが、最初の配属は九州の技術センター(お客さまの一番近くで、現場作業全般のサービスの導入からメンテナンスを行う部署)でした。1年間ほど研修がありIP(Internet Protcol)関連の知識を学んだり、お客様のところに行ってケーブルテレビやインターネットの回線を引き込んだり、通信機器の設置などを行いました。戸建てなどの場合は電柱に登ってケーブルの敷設もしていました。
最初の頃は知識不足で自信もなく、お客様との会話中に声が出なかったことを覚えています。
-お客様とはどのような話をすることが多いのですか?
サービス内容や技術的な話などいろいろです。例えば、「実際にどれくらいの通信速度が出るの?」とか経験していないとわからないことを聞かれます。
今だと「通信環境や混雑状況によって変わることはありますが、基準値を満たすような快適な速度は出ますよ。」と答えられますが、入社当時は自分自身がJCOMのサービスを使っていなかったのでどれくらい出るかと聞かれても答えられませんでした。
こういった話法は先輩社員のやり方やお客様の反応を見ながら学びました。また、お客様が実際に使うところで通信速度を測定して、「これくらい出ているので大丈夫ですよ」という説明もしました。

~お客様対応や新規設備導入の経験が本社での仕事のやりがいに~
-故障修理やトラブル対応などもやられていたのですか?
はいやりました。最初の頃は問題がどこにあるのか発見することが難しかったです。工事経験を重ねていくうちに知識も付いてきて、ある程度どこが悪いのか切り分けができるようになりました。
あるお客様のところで、JCOMから提供した通信機器ではなくお客様が持っている無線LANルーターの調子が悪くて通信できない不具合があったのですが、お客様がなかなか納得してくれなくて苦労しました。「ここがこうでここが悪い」という説明を粘り強くし、検証用の別のルーターをつなげると動くけれどお客様のルーターだと動かないといった切り分け作業をして納得していただけました。そして、お勧めのルーターの案内までしました。今まで不安を多く抱えているお客さまだったのですが、その後は不安も解消でき弊社に対する問い合わせもぱったりとやんで、何か月後かにまた不具合が出た時には、「馬場さんにきてほしい」と指名してもらえたのは嬉しかったです。
-お客様から信頼されたのですね。その後はどのようなお仕事をされたのですか?
研修後も1年半は現場の仕事をし、半年間は現場オペレーターと言って事務所で現場の指導管理を行いました。その後2022年にはケーブルテレビ局からユーザーにテレビ信号及び通信信号を送出する装置(=ヘッドエンド装置)の管理・運用保守を行いました。
その時に光回線であるFTTH(Fiber To The Home)の導入がありましたが、九州では誰も経験したことがなかったため大変でした。
構築の設計書や手順書などはあるのですが、「この回線とこの機器はこの規格のケーブルで接続すればよい」など細かいことは載っておらず、現場のメンバーだけではわからないことが多々ありました。当時は面識のない本社の仕様策定部署のメンバーに連絡をとり、「ここに接続してこの信号レベルならOK」といったようなやり取りをしながらの手探りでの立ち上げでした。
-その後、東京に異動となったのですね。
2023年4月に今の部署にきました。今は全国の拠点のヘッドエンド施設の取りまとめをしていまして、余剰設備を増やさないような投資検討を行いつつ、FTTHの新規投資などの検討をしています。去年は、過剰投資になっていた設備の運用コストの削減を行いました。ヘッドエンドの設備の稼働を減らし過ぎるとお客様の利便性を損なってしまいますので、現場に出て実速度を測定したり、様々な部署と調整をしてデータ収集を行い最適な設定となるように見直しを行いました。データ収集から資料のまとめ、上司への報告まで自分が主担当でしたので、終わった時には達成感がありました。
来年から再来年にかけてはFTTHへ移行する過渡期で関東や九州での導入があり、その取りまとめをやっています。現場の技術センターから質問がきたりしますが、現場にいたときの経験が役立っています。最近はそれがやりがいで楽しいですね。
~資格取得の勉強が仕事や次の資格に活かされていることを実感~
-工事担任者の第一級デジタル通信の資格を2020年に取られていますがどれくらい勉強されました?
期間で言うと1~2か月くらい、過去3~4年の過去問題をひたすら解いていました。休日は勉強したくなかったので仕事が終わった平日の夕方から勉強していました。当時は九州にいて友達もおらずコロナ禍で外出もできなかったので、集中して勉強できました。1回目の試験は科目合格で、2回目で資格取得できました。
-工事担任者以外はどんな資格を取りましたか?
第二種電気工事士や第二級CATV技術者、ITパスポート、JQE、乙種第4類危険物取扱者資格、家電製品アドバイザーなどを取りました。会社の推奨資格でもありますし、お客様のところに行った時にいろいろと答えられたらいいかなと思い、幅広く資格を取ろうと思いました。現在は今後の社内での活躍・ステップアップも考え、分析関係の資格(統計検定)にチャレンジしています。
JCOMでは試験に受かれば、科目合格でも受験料が支給されます。また、資格によっては報奨金ももらえます。工事担任者資格でももらえました。あと、資格取得のための講習費用やテキスト代なども支給されます。
-資格を取ってよかったなということはありますか?
専門用語や業界の用語など知らない言葉が多かったのですが、資格試験でも出てくる言葉なので仕事でも活かすことができました。法規は他の資格でも同じような内容が出るので、他の資格で学んだことが役に立ちました。工事担任者の基礎科目で出てくる電気回路なども他の資格と似たところがありますし、大学時代の授業で学んだ際に理解できていなかった部分も理解することができました。
資格で勉強することは必ず役に立つことではあるので勉強は一生懸命した方がいいですね。今は何のために取るかわからないところがあるかもしれませんが、どこかであのときやったことだとか、何かを始めるときの助けにもなるので、前向きにトライすることをお勧めします。
-通信事業者であるJCOMの魅力について教えてください
JCOMはケーブルテレビの会社ではありますが、電気やガス、ライフサポートなどの他、通信関連のソリューションやコンテンツなど幅広い事業を行っており、何でもできるところがメリットかなと思います。工業高校卒業の人は現場で働く人が多いのではと思われがちですが、内勤の人もいますし、現場に出たい人は現場で働けますし、色々な選択肢の中から自分のやりたいことができるのが魅力です。
-ありがとうございました。
【DATA】
- 企業名:JCOM株式会社
- 本社所在地:東京都千代田区丸の内1-8-1
丸の内トラストタワーN館 - 設立:1995年1月
- 事業内容:・ケーブルテレビ局の統括運営を通じた
有線テレビジョン放送事業及び電気通信事業
・ケーブルテレビ局及びデジタル衛星放送向け
番組供給事業統括 - URL:https://www.jcom.co.jp/