令和5年「情報通信エンジニア」優良団体表彰模様(学校の部)

 工事担任者、無線従事者、電気通信主任技術者などの国家資格の有資格者の知識や技術の向上を支援するための制度が情報通信エンジニアスキルアップガイドライン委員会(事務局:日本データ通信協会)の「情報通信エンジニア」です。
 情報通信エンジニアスキルアップガイドライン委員会では情報通信エンジニアの育成と資格取得を支援している団体を「情報通信エンジニア優良団体」として毎年表彰しており、今年も企業5団体、学校3団体が受賞しました。学校の部で受賞した3校を訪問して行われた表彰の模様をご紹介します。

第1位:尼崎市立尼崎双星高等学校(資格者数27名)

向かって左から電気情報科 堂髙康弘教諭、大西総教諭、長澤広昭校長、櫻木嘉典主幹教諭、黒川卓也教諭、平井宏冶教頭

 今年度、見事第1位に輝いたのは尼崎市立尼崎双星高等学校です。これで平成27年から9年連続の受賞で、長年、情報通信技術の学習に熱心に取組まれています。

 今回の表彰にあたり、長澤広昭校長からは「本校には様々な動機をもった生徒が入学してきますが、教員の指導のもと、学習や資格取得をすることで、生徒は将来役立つ武器を手に入れると共に、目標達成という大きな自信を得て成長していきます。更にこれらの実績に対し、このように表彰していただけることは、生徒・教員をはじめ学校としても大きな励みになり、非常に有難いと感謝しています。」とおっしゃっていただきました。

表彰状を受け取る長澤広昭校長(右)

 電気情報科長の櫻木嘉典先生からは、資格取得に向けた取り組みにおける特徴を紹介していただきました。「電気情報科では一つの棟内に全学年が集まり実習や座学を行っており、普段から生徒同士が気軽に話したり教え合ったり出来る雰囲気があります。そのため、工事担任者資格を始めとする主要な資格試験の学習では、上級生や有資格者が指導するスタイルが浸透されています。さらに電気情報科では校内LANとは別に独自のネットワーク回線を構築しており、その回線を活用して工事担任者の実務に通じる作業内容を実践できるという環境を設けています。」

 また、最近の就職状況について、「資格取得への取組み状況や表彰実績等を日本データ通信協会のWebで公開してもらっていることで、情報関連企業からの求人も増え、それらの会社からはその後も継続的に求人をいただけています。教員としても資格を取得した生徒を役立つ企業へ送り出せているのかなと実感しています。」(櫻木嘉典学科長)とおっしゃっていただき、日本データ通信協会にとっても喜ばしく、今後に向けて益々の励みになる貴重なお話をお聞きする事が出来ました。

 工事担任者資格試験では、「CBT試験方式の導入で受験時期を選択できるようになったので、クラブ活動や校内行事等を考慮するとともに合格率向上を目指し、生徒には少しゆとりをもって取組めるように、今年度は受験時期を秋から年明けの2月~3月に変更します。また、CBT試験の団体機能も活用し、30名以上の生徒が受験するよう指導しています。」(電気情報科の大西総先生)と、いつでも受験ができるCBT試験の利点を生かした取り組みを実施されています。

 また、1年生担任の堂髙康弘先生から「クラス内に掲示した工事担任者パンフレットを見て受験したいと申し出た生徒には、大西先生に指導をお願いし、年明け受験に向け意気込んでいます。」との話もあり、生徒の資格取得への意欲の高さも伺い知ることができました。

 工事担任者資格取得に向け戦略的に取組み、かつ意欲的な生徒に対し柔軟に対応できているのは、まさに資格取得に対する意識の高さの表れだと痛感させていただきました。本校がこのような活動を今後も続けていき、連続表彰を継続されていく事を祈念いたします。

大西(すぶる)先生(最後列左端)、堂髙康弘先生(右端)と尼崎双星高校「情報通信エンジニア」資格取得者の皆さん

第2位:福井県立科学技術高等学校(資格者数24名)

藤枝徹校長(左)と日本データ通信協会 情報通信人材育成本部長の信國宏(右)

 学校の部で全国第2位の福井県立科学技術高等学校は、令和元年から5年連続の表彰となりました。同校では電気系学科である電子電気科と情報工学科の2年生全員が電気工事士(第一種・第二種)資格試験に挑戦し、2年の後半には工事担任者の第一級デジタル通信試験にクラス全員が挑戦しています。「情報通信エンジニア」は、そこで合格した生徒が取得しました。

 電子電気科の生徒の大半と情報工学科の生徒の半数は卒業後、県内の電力、電気工事関係の会社へ就職しておりますが、福井県内には化学系の会社も多いことから製造業へ就職する生徒も多くいます。

 藤枝徹校長先生は、「企業からはしっかりと仕事ができる生徒を求められており、そのためには実習や資格取得が大事だと考えている。また、しっかりとした技術を身につけるには“身につけました”という証の資格を取得させることも、私たちは非常に大事にしたいと思っている。」と述べられました。

 今後も、「情報通信エンジニア」の資格取得を通して、卒業生の方々が企業からの期待に応え、自信をもって活躍されることを心より祈念いたします。

藤枝徹校長(左)と寺内徹教諭(右)

第3位:鹿児島県立種子島高等学校(資格者数13名)

西中間明弘校長(右)と日本データ通信協会 情報通信人材育成本部長の信國宏(左)

 昨年に引き続き二度目の「情報通信エンジニア」団体表彰の栄誉に輝いたのが鹿児島県立種子島高等学校です。同校は、離島にあり電気科だけでみても総勢60数名の小ぶりな学校ですが、今回「情報通信エンジニア」の取得を申し込んだ13名全員がその資格を得たということになりました。

 これまでは無線従事者資格をベースに「情報通信エンジニア」にチャレンジされていましたが、指導されている先生からは「今後は、さらに工事担任者資格も取得して幅を広げていきたい。」と伺いました。

 離島であるがゆえの受験の困難性は、旅費などをかけて鹿児島市内まで行く必要があったことですが、種子島でも工事担任者試験が受けられれば大きく改善できます。この課題は、今、新たなCBT方式試験の導入に向けて着実に前進しています。

 「巣立った生徒たちが、有線・無線通信のスペシャリストになり、ここ種子島でも貢献してもらうことを期待しています。」ともおっしゃっています。

 これからも多くの「情報通信エンジニア」を輩出していただき、ひいては卒業生の方々が、我が国のICTエキスパートとして多方面で活躍されていかれることを心より祈念いたします。

情報通信エンジニアを取得した種子島高等学校電気科の皆さん

(注)資格者数は令和5年9月末時点の集計値です。