ポストコロナ時代に向けて

一般財団法人日本データ通信協会
理事長 酒井 善則

日本データ通信協会では2021年度に新資格制度のもとでの電気通信主任技術者・工事担任者の資格試験の運営を開始するとともに、建設業法上の電気通信工事施工管理技術検定合格者に対する工事担任者試験の一部科目免除等の新施策を実施する。また、新たに情報通信人材育成事業の一環として総務省「利用者向けディジタル活用支援推進事業」の執行団体として高齢者等のデジタルデバイドの解消に勤める。更には、総務省の新しい制度のもとで指定調査機関としてタイムスタンプ事業を開始すると共に、情報トラストサービスにおける新しい制度の立案に参画する。このように、協会は今までの事業を継続するとともに、新年度には総務省等と協力して多くの新しい方向に前進することとなる。

我が国は将来における生産年齢人口の減少が懸念されているが、コロナ禍のもと、高齢者問題、女性活躍問題等が大きな話題となっている。高齢者はコロナ感染時に重症化リスクが大きく、病院の病床を比較的長期間占有するため医療崩壊にもつながりやすい。ワクチンも高齢者優先で接種する方針と聞く。また、我が国における社会での主要な地位の女性比率は諸外国に比べて低い上、コロナ禍に起因する失業者の女性比率が大きく、社会問題になっている。女性の失業は、子供の貧困化にも直結するため、将来への影響も大きい。生産年齢人口の減少は、女性のより一層の活躍、元気な高齢者の社会参加で補うことが有効であり、高齢者、女性活躍問題はポストコロナ時代の社会に大きな影響を与える可能性もある。更に、今後のテレワークの増大により生産世代も在宅勤務の割合が増大することも予想され、家庭のあり方も課題になるかもしれない。

 女性の社会での活躍は、資格と結びつくことが多い。看護師、薬剤師などの従来から女性が多かった職種はもとより、医師、弁護士、更には工学系でも一級建築士のような、取得困難ではあるが取得した後である程度仕事が約束される資格での女性取得者比率は近年上昇している。出産等で仕事の中座期間が予想される女性にとって、取得は容易ではなくても地位を守ってくれる資格は魅力的と思われる。協会で運営している情報通信関係の各種資格の価値を高めて、資格取得者の地位を守る機能を強くすることは重要と考えている。また、利用者がディジタル分野の知識を得ることを支援する新しい支援事業は、結果的に高齢者の社会活動、更には就業も可能とするものであり、女性活躍も含めて生産人口減を防ぐ手段にもなる。更に、安心して情報システムを使えるようにする情報トラストの普及は、女性、高齢者の社会活動を可能とする有力なしくみの提供に繋がる。

 日本データ通信協会は新しい時代の要請のもと、取得者の地位向上を可能とする資格の運営と高齢者も含めた幅広い層の情報通信人材の育成に引き続き努力していく。更には安心して利用できる情報システムのしくみを構築することにより、年齢、男女にかかわらず全ての人々が社会発展に寄与できる社会を作るために努める所存である。将来的には、フェイク情報を防ぎ、流通する情報の信ぴょう性もある程度保証できるしくみが出来ないかとも考えている。