電気通信主任技術者定期講習第2期の2年目(平成31年度)を終えて

日本データ通信協会
人材研修部担当部長 渡邉俊明

 電気通信主任技術者定期講習(以下「講習」という)は、第1期(平成27年度~平成29年度)を実施し、平成30年度から第2期に入り、今年度はその2年目に当たります。
 講習は、令和元年9月と12月、いずれも東京会場で行い、特に大きなトラブル等もなく全て完了しました。以降に今年度の講習を振り返り、取りまとめました。

1.講習の実施状況

 講習は全4日、伝送交換技術と線路技術それぞれ、東京会場で2回計画・実施されました。

第2期講習テキスト
講習風景(東京会場)

(1)講習への準備

 講習テキストは、講習実施の度にそれまで把握できた法・制度の変化の内容や、総務省「電気通信事故検証会議」の内容などをタイムリーに追補版に網羅し、最新化を図っています。今年度は法規部分の変更が大きかったため、追補版にて全面改訂を行いました。
 さらに、今期は線路技術や法規の講師を増員するほか、スクリーン投影資料を増すなど講習の充実に取り組んできました。

(2)受講者の募集

 受講者の募集にあたっては、先に、平成28年度修了者全員に4月上旬受講案内を送付し、続いて、受講期限3年にあたる方を主に対象とし、6月から優先受付期間を設定しました。
 7月からは今年度新規に受講される方も含めた一般受付期間を設定し、11月中旬に申し込みを終了しました。

 日本データ通信協会は、平成27年1月に電気通信主任技術者定期講習の唯一の登録講習機関第一号として総務省に認可された後、平成30年1月に登録更新を行い引き続き登録講習機関として講習事業を展開しています。
 講習は、資格者証の交付を受けた方が、電気通信主任技術者として電気通信事業者から選任を受けたときは1年以内に当該講習を受講する必要があります。尚、選任されていなくても受講は可能です。また、過去に講習を受けた方が引き続き選任されている場合は3年以内に再び講習の受講が必要とされています。

(3)講習の受講者等の状況

 今年度の受講申込総数は282名となりました(内訳図1参照)。これは3年前の平成28年度受講申込者(195名)の145%に当たります。今年度募集定員は240名としていましたので、大きな会場への変更対応など全員が受講できるよう取り組みました。
 今年は、大雨、台風等災害が続いた年でもあり、災害復旧対応などで会場変更が必要な受講者もいましたので、できるだけこれらへの対応も行いました。

 受講申込者のうち、選任者は258名(91.5%)非選任者は24名でした。また、3年前受講者で、今年度も引き続き受講を申し込んだ継続受講者は、78名(27.2%)でした。受講申込者の年齢構成を図2-1(H31)、2-2(H30)に示します。昨年度と比較すると、平均年齢の低下と60歳以上の人数比率の低下が見えます。これより、後述する、新規の方への世代交代の様子が伺えます。

 各会場別の受講の状況を表1に示します。

講習風景(東京会場)

(4)受講申込事業者及び選任者の状況

 今回受講の登録電気通信事業者は68社あり登録事業者全体の約2割の事業者でした(昨年度は受講者も多かったため、231社、当時の約7割の事業者でした)。また、登録事業者以外の届出事業者は15社ありました。
 受講申込者のうちの選任者は前述のとおり258名で91.5%でした。また、受講者の中で2つの資格(伝送交換技術、線路技術)を持ち、どちらも選任されて受講を申し込まれた方は31名で、伝送交換受講申込者の19.3%でした。

2.講習の結果

(1)修了考査

 修了考査は講義の終了後に行っており、各回の正解率は表2の通りでした。

 平均正解率は伝送交換92.7%、線路95.3%となりました。修了考査の得点分布を図3-1、3-2に示します。約8割の方が、得点27点(90%正解)以上でした。

 講習修了者や選任している電気通信事業者の名称は総務省への報告事項となっています。また、電気通信事業者には総務省に電気通信事業者として登録している登録事業者(319社 令和元年12月1日現在)と、それ以外の事業者(届出事業者)の2種類があります。

 科目別の正解率を表3に示します。

修了考査模様(東京会場)

(2)修了証の発行

 講習を受講し、修了考査に合格した方には次回の講習期限を記載した修了証を発行し、同時に総務省へ修了者名の報告を行っています。

(3)アンケート等

 受講者からは、会場については駅から至近距離にあり、設備も充実している点で、昨年度に引き続き好評価をいただきました。
 また、テキストの事前配布や事前課題の提供などにより講習前に学習ができ、講義の中では重点を絞った解説をしていただき、内容も良く理解できたとの感想をいただきました。
 さらに、サイバーセキュリティの講義については、具体的な事例を使って説明してもらったので実用的で大変参考になった等の感想もいただきました。

 修了考査は30問を40分間で解いてもらうもので、70%の正解(21問)で合格としています。なお、科目ごとの出題の割合は講義時間を鑑み、概ね設備及びその管理8割、法規2割としています。

3.最後に

 今年度の受講申込者の傾向で、これまでと少し違った傾向にあったのが、新規受講申込者の増加です。平成30年、31年と受講申込者の推移を見てみると、継続と新規の比率が、従来概ね7:3だったものが、今年度、継続と新規の比率が逆転し、3:7となっています。(図4参照)

 平成30年度の受講申込者は、平成27年度受講から3年の期限がくる継続受講申込者が大半を占めていましたが、今年度は、新規受講申込者が大半を占めました。新規受講申込者比率の増加傾向は、講習制度の経過とともに予測されていたことでしたが、その様子が顕著に表れた年となりました。