challenge!  江楠学園 北陵高等学校

江楠学園 北陵高等学校
校 長 大坪健造
電子科々長 松延眞佐司
電子科教諭 江口雄大 坂口佳之 多田匤孝

学校紹介

 本校は、昭和30年4月に、現在より南部、佐賀駅近くの神野町に佐賀高等無線電信学校(各種学校)で無線通信士の養成学校として設立され、その後、昭和37年に現在の地に移転し、「時代が求める技術者の養成」を目標に佐賀電波学園「佐賀電波工業高等学校」として電子科2クラスを設置しました。その後電気科・建築科・自動車科を設置に伴い、校名を佐賀電波学園「佐賀中央工業高等学校」と改称し、更に全国でも稀有の航空機関科(のちの航空科)と土木科も設置し、佐賀県内唯一の私学工業高校として工業教育一途に歩みましたが、平成12年4月に介護福祉士養成のため生活文化科を新設することになり校名を現在の江楠学園「北陵高等学校」と改称しました。

 本校の教育理念は学園創設者の故江口九郎次先生の建学の精神である校訓「何処の場にありても なくてはならぬ人となれ」のもと「自主・自立」「自啓」「創造」を目標に、健康な身体と豊かな心を身につけ、社会の変化に主体的に対応できる思考力・判断力・実行力を持った生徒の育成を目指し、それぞれの学科で特色ある授業展開・資格取得に力を入れています。

 また、部活においても卓球部は県下トップの実力で毎年九州大会に出場し、エコノカー部も今年の「Hondaエコマイレッジチャレンジ2018」の2人乗りクラスで1リットルの燃料で291.247㎞走行で2位に86㎞の大差をつけ九州No.1となりました。さらに、高校では珍しいバルーン部も毎年開催される佐賀インターナショナルバルーンフェスタに参加しています。

工事担任者試験への取組み-電子科-

 現在、私たちが生活している周囲を見回してみると、電子電気が関わっているものばかりで、特に情報化社会においてはデジタルの世界と言っても過言ではなく、今やIT(情報通信)時代からICT(情報コミュニケーション通信)の時代へと大きく変化し、さらにはユビキタス(コンピュータを身につける)時代へと進んでいます。確かに便利な世の中となりましたが、その陰では通信やコンピュータなどの電子の技術を忘れることはできません。

 電子科では、「制御に関する技術」、「通信(ネットワーク)に関する技術」、「コンピュータに関する技術」を3本柱として技術の習得を目指しています。その中で、以前は、通信系の学科として設立されていましたので、無線通信士の免許取得に力を入れていました。工事担任者試験は希望者という形で受験をしていましたが、時代の変化と進路先の拡大という意味も含め、工事担任者の資格取得を科の主力資格として位置付け、毎年5月に実施される「工事担任者DD3種」の試験を平成23年より3年生全員に受験させることにしましたが、当初は3年生の運動部員は6月に最後の総体があり、放課後の補習を実施しても中々参加できず、また、指導する職員も運動部の顧問や他の資格補習や校務等と重なるなど時間が取れず、毎日出来なかったり短時間の補習となったりで、合格率は低迷していました。11月の下期に受験した生徒もいましたが、今度は進路活動が中心となり中々合格率は上がりませんでした。

 打開策を様々な観点から検証した結果、1番の問題点は、受験意欲の持続性の欠如、2番目に同一類の問題に対する同じような間違い(理解不足)が見受けられました。
 それらを踏まえ今後の指導方針として、まず、資格取得に対するモチベーションの維持に着目しました。近年、目的意識を持って電子科に入学してくる生徒が少ない中で、将来の就職・進学に対する展望をどのように持たせ、維持させるかを中心に検討し、ステップ的に資格取得への挑戦、「これに合格すれば、次のステップに挑戦」というように生徒自身に自信を持たせつつスキルアップをさせることの重要性を再確認しました。
 その中で、ただ、過去問を解かせるだけでなく、生徒各個人単位で得意・不得意の単元や項目があることと、同一類の問題で同じような間違いをしていることも点数の伸び悩みに繋がっていることが判明しました。

 そこで、補習内容の再検討を図り、限られた時間を指導者側も生徒側も有効に活用できる方法として、工事担任者試験の受験に際しては特に、各生徒個人の得意・不得意の単元、項目を把握させ集中的に繰り返し不得意の単元問題を解くことが出来るように単元別、項目別の練習問題を準備し、生徒たちが自由に問題を解けるように準備をしました。
 その結果、合格ラインに中々到達できなかった生徒たちが、徐々に近づけてあと一歩、あと一歩と進められるようになり、また、生徒間同士でも互いに教えあう光景が増えて、互いに切磋琢磨しているようです。

 本試験では若干ではありますが、合格率は徐々では上昇し、最近では、DD3種で60%、AI3種で85%の合格率となってきています。まだ、試行錯誤の状況なので生徒の意欲を掻き立て一人でも多くの合格者を目指したいと思います。

合格者の声

電子科3年
岩本竜汰

私は2年次の下期にDD3種を受験しようと思いましたが、電気機器組立(シーケンス制御作業)の受験を控えていましたので、3年次の上期にDD3種とAI3種のダブル受験をしようと考えました。先生方からは、DD3種に合格できれば、AI3種は「技術」のみになるから今回はDD3種に集中し、AI3種は下期の受験の方がいいよとのアドバイスを頂きましたが、進路活動に間に合わせようと思い挑戦しました。また、全国工業校長会のジュニアマイスターを取得するという目標もありましたので、ここで合格しておかないと間に合わない可能性があり、一度で受かりたいと考えていました。補習では、DD3種の方は徐々に点数を上げていき平均90点が普通になってきたので良かったのですが、AI3種の方は伸び悩み、DD3種の補習が終わった後や、休み時間を使って勉強しましたが平均が60~70点の間くらいで安定していませんでした。その結果、DD3種は無事合格することができましたが、AI3種は、「基礎」「法規」は合格しましたが、「技術」が自己採点では55点とあと一歩のところでした。今回の結果は、とても悔しく、もう少し勉強の仕方を工夫すればもっと点数を取れたのではないかと思いました。この失敗を活かし下期では必ず合格しようと思っています。

電子科2年
吉川隆一郎

私は同級生が2年時の5月に受ける第二種電気工事士の資格を1年時に取得できましたので、本来であれば今年の下期で受ける予定の工事担任者のDD3種を上期で受験することが出来ました。「資格はどんなものでも持っていて損は無い」という考えがあり、取れる資格はできるだけ早めに取得し来年の本格的な進路活動に活かしていきたいと考えています。
また、せっかく工業系の高校に進学したのですから、全国工業高等学校長協会のジュニアマイスターの「ゴールド」を取得したいとの思いもあり、1年生の時から資格取得には積極的に取り組んできました。今年の上期では2年生が1人で心細い思いがありましたが、資格勉強をしているうちに取得に対する自信が付き、本番には正面から向き合い、無事DD3種に合格することができ、目標に近づくことができました。
まずはジュニアマイスター「ゴールド」取得に向け前進できましたので、下期にはAI3種、さらに来年はできれば2種・1種・総合種と自分のスキルを上げるためにチャレンジしたいと思いますし、他の資格試験にも挑戦していこうと思います。