
株式会社 アストエンジ
安全品質管理本部
堀江 章弘(ほりえ あきひろ)さん
今回は、大阪に本社を持つ株式会社アストエンジさんの社員の方にインタビューを行いました。堀江さんは電気通信工事を行うにあたって欠かすことのできない資格の大半を取得している電気通信業のプロフェッショナルで、現在は若手社員の教育や資格取得の支援をされています。
ご自身がどんな資格をどのようにして取ってきたのか、若手社員にはどのようなアドバイスをしているのかなど、高校生の方にも参考となるような話を語っていただきました。
~ご自身の資格取得について~
-会社に入って22年経っていますが、高校時代のことを教えてください。
高校は普通科の高校でした。電気・通信系の技術的な仕事をしたいと思い高校卒業後に専門学校(電子工学科)へ入りました。半田ごてを使った基板工作やパソコンを使ったプログラム実習などを学習しました。
-その後、今の会社に入られたのですね。
アストエンジは今年で創立10年目です。その前身の通信建設工事会社に入社し、民間企業や官公庁向けの電話設備や無線設備の施工、販売をしている部門に配属されました。交換機やビジネスホンを営業、販売、設置、修理している会社で、工事担任者資格を取得した方がよいということで取得しました。
-工事担任者資格はまずは二級から取られたのですか?
2001年にアナログ第1種を取り、2011年にAI・DD総合種を取りました。ビジネスホンや電話交換機などは回線数が多く1種の資格が必要なため、まずはアナログ第1種を取得しました。その後、総合種も取るようにと周囲から勧められました。
-資格を取ったことで業務内容が変わったり、昇給したなどはありましたか?
昇給はないですが、合格して会社より資格取得奨励金が出ました。
-他にはどういう資格をお持ちですか?
AI・DD総合種を取得後は、電気通信主任技術者の伝送交換を取得しました。伝送交換を取得すると第一級陸上無線技術士の試験科目の4科目のうち2科目が免除になる制度を活かして、第一級陸上無線技術士を取得しました。その後、電気通信主任技術者の線路も取得しました。
-かなりたくさんの資格を取られていますね。資格を取ると、他の資格も取りやすいものですか?
そうですね。それぞれ共通した試験内容がありますし、保有している資格によっては受験する科目の免除があるので取得しやすくなります。最後に受けた電気通信主任技術者の線路を取得する時は、2科目が免除となり1科目(設備)受験だけですみました。
広い意味で通信というジャンルになりますから、工事担任者で覚えた内容が伝送交換の試験で出てきたり、伝送交換で覚えた内容が無線技術士の試験で出てきたりもします。 1級電気通信工事施工管理技士を取った時も、もともと線路の知識はなかったのですが、電気通信主任技術者の線路を勉強したことで光ケーブルの知識などが習得でき、非常に良かったと思っています。
-AI・DD総合種を取ってから短期間で他の資格を取得されたのですか?
2011年にAI・DD総合種を取得しまして、翌年に電気通信主任技術者の伝送交換、その翌年に第一級陸上無線技術士を取得しました。2021年に電気通信主任技術者の線路と、1級電気通信工事施工管理技士も取得しました。AI・DD総合種から第一級陸上無線技術士までは続けて取得しましたが、科目免除の制度が無ければ受験していなかったと思います。
-仕事をしながら資格を取るのは大変ではなかったですか?
私は電車通勤が多かったので、過去問を通勤電車の中で勉強していました。また、帰宅後自宅では勉強に身が入らない性格なので、週末は図書館や喫茶店などに行って勉強していました。
-すごいですね。今も他の資格取得に挑戦しているのですか?
いえ、そろそろ一段落しようかなと(笑)
-こういう仕事をするならこういう資格がいるよというものがあれば教えてください。
インターネットや携帯電話など通信関連の会社に就職するなら工事担任者は持っていた方がよいです。また、通信建設業などに携わるのであれば、資格をもっていることは大きなアピールになります。

~資格取得へのアドバイス~
-今の仕事について教えてください。
安全品質管理本部に所属していまして、現在の私の業務内容は、社内の安全関連の資料作成の他、職長教育などの研修講師や社員の公的資格取得の為、講習の開催などの支援業務に携わっています。
-若い社員から資格取得に関する相談があった場合、どのようなことを話されていますか?
資格を取りたいという社員がいれば、まずは「家に帰って部屋で勉強できる?」と聞きます。できる社員は自主的に資格を取得できると思います。私の勉強法としては、「通勤時間を利用して電車内でまずは10分勉強してみよう。10分できたら次週は15分やってみよう」と、学習時間を少しずつ上げていき、試験直前の詰め込みでは厳しいので、毎日30分、過去問題5年分を8~9割できるようになるように勧めています。
-今の高校生にもいいアドバイスですね。
まずは勉強する習慣をつけることが大切です。工事担任者の過去問題を活用して通勤電車などで、まずは答えを流し読みでもいいので取り組めばいいと思います。
-資格を取ろうというモチベーションが低いとどうなりますか?
会社では半期ごとに面談があり、工事担任者や電気工事士や陸上無線特殊技士など会社が奨励している資格を取得するように勧められます。仕事を行う上で必要な資格なので社員から相談がきたときには、どういう取り組み方をしているかを聞き、参考となるアドバイスをしています。
-取得する資格の順番としては、工事担任者→電気通信主任技術者→無線技術士といったステップを推奨されているのですか?
そうですね。最終的に屋外アンテナや携帯キャリア様などの仕事に就きたくて無線技術士を取りたいという社員がいれば、電気通信主任技術者(伝送交換)を取得すれば4科目中2科目の試験が免除になる旨を伝えています。
-工事担任者資格を取得するメリットを挙げるとしたら何になるでしょうか?
工事担任者は国家資格なので、国から認められた資格であることですね。採用面接で同じ学校、同じ成績の2人がいた場合、資格を持っている方が採用される確率は上がると思います。業界に合った資格を取っていることは、会社からもやる気を持っている生徒だと受け止めてもらえると思います。
【補足】令和3年4月以降に総合通信を取得した人は、3年間の実務経験で建設業法上の主任技術者に認定されるように制度が改正されました。このあたりも工事担任者資格取得のメリットとなります。
~仕事での経験~
-今までの仕事の中で、印象に残っている仕事を教えてください。
現在の部署に配属する前になりますが、大きな新築の病院向けに交換機や内線電話、院内PHS(Personal Handy-phone System)などの提案営業から受注、完工までと最初から病院のオープンまで携われたことが大きな仕事でやりがいがありました。
建物の設計図や各フロアのスタッフ数、電話の使用頻度などをお客様から聞き、各フロアに必要な回線数や端末の台数、設置場所などをお客様と詰めていきます。それをもとに見積もり、設計書を提出し、注文をいただくなど、2~3年かけて行いました。また、病院のナースコールの接続試験も実施しました。
-それは大変ですね。お客様とのコミュニケーション力や聞き取りの力も必要ですね。
教えてくださいといって待っていても回答が来ない時があります。そのときは自分から積極的に行動し聞きにいかないと、スケジュールが遅れることになってしまいます。
-逆に失敗した経験などはありますか?
今の話と重なりますが、お客様から要望が出てこない、仲間が動いてくれないなど、相手任せにしてしまい、仕事の進捗の遅れを人のせいにしてしまう時がありました。これは良くないと思い、お客様に仕様を確認しに行ったり、現場が進んでいなければどうすれば進むかを考え、他部門からの応援や配置換えをするなど、積極的に行動し聞きに行ったり、動いたりすることを心がけるようになりました。
-人の動かし方、仕事のまわし方を学ばれたのですね。
若い時には人のせいにしがちでしたが、自分のやり方ひとつで変わります。「この業務はあの人がやるだろう」「あの人が回答してくれるだろう」ではなくて、この業務はだれがいつまでにやるということを意識して自分自身と相手に進捗を確認することを心がけています。
-それでは最後に高校生の方へ一言お願いします。
工事担任者の資格をとれば、通信業界へ就職する際のアピールになりますので、是非、資格取得を目指してみてください。
ありがとうございました。
【DATA】
- 企業名:株式会社アストエンジ
- 本店所在地:大阪府大阪市城東区永田三丁目9番10号
- 設立:1964年 6月 (第二近通工事株式会社として設立)
- 事業内容:電気通信工事業、電気工事業、土木工事業、
とび・土工工事業、ほ装工事業、解体工事業、
管工事業、一般労働者派遣事業 - URL:https://www.ast-eng.co.jp/