Challenge! 埼玉県立大宮工業高等学校

新校に向けて~本校の現状~

埼玉県立大宮工業高等学校
電気科教諭 万沢 一成

学校紹介

 本校は、大正14年に大宮町立の工業学校として開校し、来年度で100周年を迎えます。埼玉県内16校ある工業高校の拠点校として数々の新しい教育実践を行っています。現在は文部科学省次世代地域産業人材育成刷新事業「マイスター・ハイスクール」指定校として、民間からCEOを迎え、企業と地域、学校が連携した次世代マイスター育成のモデル事業を行っています。さらに、学校再編計画で本校と近隣の浦和工業高校が統合し、令和8年度より新校として生まれ変わります。新校の目玉として埼玉県内初となる情報に関する学科「情報サイエンス科」が2クラス規模で併置されます。埼玉県の工業教育・情報教育を牽引し、グローバルな視点から先端産業分野で活躍するための資質・能力を育成し、ものづくり全般に関わる基礎から新たな価値を生み出す教育まで、Society5.0を実現する学びを実践する学校、ものづくり教育の拠点として、地域や社会に貢献しようとする生徒を育てる学校を目指しています。
 設置学科は現在、全日制工業(機械科2、電子機械科2、電気科1、建築科2)4学科7クラスと定時制工業技術科1クラスの編成ですが、新校では全日制工業(機械工学科2、電気工学科1、ロボット工学科1、建築デザイン工学科2)4学科6クラス、情報(情報サイエンス科2)1学科2クラスと定時制工業技術科1クラスの編成へ変わります。

電気科の紹介

 電気科は、電験三種と工事担任者の認定校になっており、認定に必要な科目があるためカリキュラムは他校の電気科と大きく違いはありません。新校工業科では「工学」が加わった学科名になることが決まっています。本校の徽章には昔から「工學」が使われており、学ぶ姿勢は原点回帰し、技術の進歩と変わりゆく生活環境に適応する電気技術者の育成を目指していきます。

 資格指導については、電気工事士受験対策が中心で、2年生上期は第二種が全員受験のため学科を挙げて合格に向けて取り組んでいます。朝講習や放課後講習には他学科の希望者も含めて毎回70~80名の受験者が参加しています。電気科の生徒は第二種に合格すると第一種に挑戦するという流れが出来ています。講習にあたってはgoogleアプリを活用して過去問題を実施し、個々のデータを分析して傾向が分かる個別シートを作成して配布しています。

工事担任者への取組み

 マイスター・ハイスクールの一環で企業と連携した取り組みも多く、通信関係では、電気通信工事業界人材育成モデル構築事業としてミライト市川研修センターにて「ハーネスを装着した鉄塔での作業体験」や、「電柱建設体験」、「融着器を使用した光ファイバーケーブルの接続体験」など、工事担任者資格の活用実践を行っています。この光ファイバー接続実習は機材が高額のため、なかなか校内では実施できないですが、現在、新校に向けて校内で実施できるように準備を進めています。実習環境が整えば通信関係の科目を増やしていく予定です。

電柱建設体験
鉄塔での作業体験
光ファイバーの融着接続体験

 資格指導については、2年前まで春季のDD3種(2級デジタル通信)試験に向けて講習会を開催していました。電気工事士の講習と同様にgoogleアプリを使って過去問題に取り組ませています。この様子は令和3年にリモートで開催された工事担任者指導者研修会で報告させていただいております。

 

 本校の課題は、指導できる職員が他にいないことと、CBT方式で受験日が決まっていないことから電気工事士の資格が優先され、後回しになってしまうことです。残念ながら昨年度は生徒との日程調整がうまくいかず講習会を開催することができませんでした。
 そんな中、過去に取得した2級デジタル通信の合格を機に、総合通信に独学で挑戦し1回で合格した生徒が出たことは大変喜ばしいことです。最後に合格体験記を紹介します。

総合通信合格者体験記

令和6年3月卒業 日本工業大学 木住野 博夢

 私が受験したきっかけは、電気工事士以外の資格が欲しかったのと、以前第2級デジタル通信に合格したので、次は総合通信に挑戦したいと思ったからです。勉強期間はおおよそ5ヶ月で、最初にテキストを読み込み、わからない単語はスマートフォンで調べ、1ヶ月かけて基礎を固めました。2ヶ月目にもう一度復習を行い、残りの3ヶ月間は過去問を集中的に取り組みました。苦労したことは、やる気を維持することでした。「頑張るのは当たり前だ、頑張らなければ話にならない」と思いながら勉強しました。技術が1番難しかったのですが、合格できて満足しています。