Challenge! 福井県立敦賀工業高等学校

地域社会に貢献できる技術者を目指して

福井県立敦賀工業高等学校
電気科教諭 宮川 将和

学校紹介

 本校は昭和1962(昭和37)年に開校し、一昨年に60周年を迎えました。
 現在設置されているのは電子機械科・電気科・情報ケミカル科・建築システム科の4学科であり、各科専門的な基礎基本となる知識技能の習得や先端技術の学習まで幅広く学ぶことができます。さらにそれぞれの学科が「ものづくり」・「資格取得」・「各種工業系コンテストへの参加」・「高度技術者招聘」などの工業高校として特色ある教育活動を通し、社会に必要とされる人材の育成に努めています。
 また、本校は地域とのつながりが強く、就職支援が活発な学校であります。本校を会場とし、企業からの説明会を行ったり、地元企業と協力してインターンシップなどの就業体験を行ったり、生徒が自身の将来に関心を向けることができるように促しています。

電気科の紹介

 電気科では、オームの法則やフレミングの法則などの基礎から、発電・送電・配電・機器・電子・制御・通信といった応用まで、幅広い分野を学習し、安定した安全でクリーンなエネルギーの確保や社会に貢献できる人材の育成を目指しています。
 また、資格試験や技能検定の合格に向けて補習などで学力補充を行い、生徒を支援しています。特に第二種電気工事士の資格試験に関しては1年生の前期に全員合格を目指して取り組み、入学3日目から、早朝・放課後などの時間を利用して補習を行っています。1年生は入学して間もないため、電気に関する知識がなく、模擬試験などでは苦戦することも多いですが、教員の熱心な指導や自宅での学習によって、試験合格が十分可能な知識・技能を身につけ、本番の資格試験に挑戦します。そのため電気科のほぼ全員の生徒が第二種電気工事士の免許を取得した状態で2年生になります。現在2年生は全員、3年生は20名中18名の生徒が第二種電気工事士の資格を保有しています。1年生は現在資格試験に挑戦中です。

 1年生の初期から資格試験に挑戦することで資格取得に対する意欲を高め、自身の就職を見据えた資格の選定や勉強時間の管理などが行えるように促しています。第二種電気工事士に始まり、第一種電気工事士や第三種電気主任技術者などの電気系の資格にとどまらず、技能検定シーケンス制御2・3級・工事担任者・消防設備士・危険物取扱者など幅広い資格に挑戦することができます。教員陣も多くの資格を取得しているため、希望者には補習を行っています。また、新規の資格に挑戦したいという生徒とともに資格試験を受験するということを行っている教員もいます。

工事担任者試験への取り組み

 電気科では工事担任者試験への受験は希望者のみを対象としています。受験の際に生徒からの希望があれば補習を行うという形をとっています。工事担任者試験は『基礎』、『技術・理論』、『法規』の3分野に分かれているため、『基礎』、『技術・理論』の2分野に対しては補習を行います。『法規』に関しては自宅学習をメインに進めます。
 『基礎』の範囲に関しては今までの電気関係の授業で学習してきた内容と重なっているところもあるので、生徒からしても取り組みやすい部分が多く、比較的理解しやすい分野だと言えます。計算問題などを中心に解き方の解説などを行います。『技術・理論』の範囲に関しては専門的な言葉が多くあり、知識の定着がかなり難しくなっています。1か月間の補習では教えきることが難しいため、簡単なところや暗記が必要な部分は自宅学習で補い、理解が難しい範囲の補習を行っています。自宅で解説を読んでも理解が難しかったところや、躓いてしまったところを生徒に聞き、補習の内容を調整します。『法規』の分野に関しては問題集などを使用し、自主勉強で知識を身につけていきます。補習や自宅学習で使用する問題集はリックテレコム社の実践問題集を使用しました。
 補習の期間は他の資格試験の補習や部活動などのため、1か月ほどの短い期間で行っています。1限目が始まる前の朝補習で『基礎』の範囲を学習し、放課後補習で『技術・理論』の勉強を行っています。短い準備期間ではありますが、生徒本人の努力と教員の努力があり、工事担任者総合通信の資格取得を達成することができています。現在、工事担任者試験の受験希望者は少数ですが、多くの生徒に興味を持ってもらえるように働きかけていきたいと考えております。
 今後も電気科ではさまざまな資格に挑戦し、自分を律して勉強時間を確保し、資格試験合格という目標に向けてひたむきに努力する姿勢を生徒たちが身につけられるように支援していきます。その過程で達成感や自分を成長させていくことの楽しさと重要性を生徒たちが理解できるように促していきます。さまざまな資格を得て、自信を身につけ、学ぶことに対して積極的な姿勢を身につけることができれば、多くの企業に求められる人材になれます。私たち教員の資格指導が生徒の資格取得につながり、地域社会に求められる技術者として活躍するための一助になることを願っています。