新年に寄せて

一般財団法人日本データ通信協会
理事長 酒井善則

 日本データ通信協会が設立されてから今年で49年目になる。49年間協会の活動を支えて頂いた皆様、機関誌をご愛読頂いた皆様に改めて御礼申し上げたい。昨年はコロナ禍の一年であり、感染者数の推移を示すグラフを毎日のように目にした。緊急事態宣言などに伴う観光業を始めとする各種産業の不況、物資不足等、多くの課題が発生した。また、テレワークの普及にともない“おうち時間”が増加して、家庭の需要が大きく変化するとともに、高齢者孤立の問題、学校に行けないことに起因する若い人の教育問題等、は今後に影響を与えるかもしれない。更に、コロナ感染経路の調査、ワクチン接種の効率化、給付金の支給等の課題を通して、我が国のディジタル化の遅れも明らかになり、ディジタル庁の新設、ディジタル田園都市構想等、ポストコロナ時代を見据えた政府の新しい計画がスタートした。


コロナ禍がいつ終息するかわからないが、ディジタル化の流れ、テレワーク等による新しい仕事環境とそれに伴うライフスタイルの変化の流れは止まらないだろうと思われる。テレワークに適した環境を目指して、郊外型の住宅需要の増加等、需要構造にも変化が見られるとも言われている。しかし、ライフスタイルの変化は職住分離型の都市部の日本人の生活に変化をもたらす可能性があり、様々な課題の発生が予想されている。


 私は還暦以降、夏休みは郷里の山梨県で過ごすようにしているが、従来は長期休暇の連続取得が困難であり、また夏季期間も会議等の東京での所用が多かったため、山梨県から東京に日帰りで戻っていた。昨年はテレワークが可能となったため、長期間山梨に滞在することができたが、部屋の片隅でテレビ会議をすることになり、休暇と仕事の区別が小さい状況になった。更にテレビ会議により、自宅の一部が相手に表示されるため、自宅内の音声、画像に注意を払った。以前の大学教員時代は、年末年始の休みには、学生の学位論文等のチェック、各種評価委員としての仕事等があり、休み中に仕事日を数日確保していたが、山梨では仕事時間とともに仕事スペースの確保も必要となってしまった。おうち時間の増加で、家庭内トラブルが増えたとの報道も理解できる。テレワークの普及は、明治以降の都会サラリーマンのライフスタイルに影響を及ぼす可能性が大きい。便利だけではなく、居心地よいディジタルシステムの普及が重要となる。


 日本データ通信協会は、なるべく早く訪れてほしいポストコロナ時代に社会の中核になる新しいディジタルシステムを、多くの年代の方々に安心して使って頂けるように、努力していきたいと考えている。居心地よく安心なディジタルシステムの普及のためには、プライバシーに配慮したシステム構築のコンサルテーション、更にはこれらを安心して使えるトラストが重要である。今後の日本データ通信協会が、個人情報保護を含めたトラストの確立とともに、新しい社会でのディジタルアドバイザー育成のための役割を果たしていくことを、皆様にご援助頂きたいことをお願いして、新年のご挨拶としたい。