challenge!  熊本県立熊本工業高等学校

生徒と教員の努力が相まって実現する「文武両道」

熊本県立熊本工業高等学校
電子科教諭 南部 徹

学校紹介

 本校は、明治31年に木工、金工、染織工の3科を設置した「熊本県工業学校」と称し創設されました。昨年度創立120周年を迎え、平成29年度末現在全日制・定時制を合わせ43,635名の卒業生が各分野で活躍している歴史のある工業高校です。全日制が機械・電気・電子・工業化学・繊維工学・土木・建築・材料技術・インテリア・情報システムの10学科、定時制が機械・電気・建築の3学科あり約1,300名が在籍しています。生徒たちは「明朗真摯」「創意工夫」「友愛協調」の教育綱領のもと「文武両道」を掲げ日々学習活動・部活動に懸命に取り組んでいます。また、平成30年度から、実習棟改築事業が始まり、同年文部科学省から「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール」事業の指定を受け、今年度2年目を迎えています。

電子科の紹介

 電子科は生徒の希望に応じ、多様な進路先に対応し、進学の割合が他の科より比較的高い科です。国立大学・高等専門学校への編入をはじめとする進学、公務員、企業への就職の3つに分かれます。ここ数年好景気の波に乗り、電子科も就職する生徒の割合が増えていますが、今年度も高専編入試験に3名合格し、国公立大学希望の生徒2名も進路実現に向け努力を続けています。

資格取得に関する取り組み

 10年前から電子科では、1年次から多くの資格取得に取り組みました。6月からの第2種電気工事士に始まり、9月に品質管理検定、11月に工事担任者DD3種、1月に情報技術検定、工業標準テスト、2月に危険物取扱者をクラス全員が受験していました。担任が中心となり、それなりの実績を上げ、学校全体のジュニアマイスター認定者数のおよそ3割強を電子科で占めていました。電子科は、「資格取得に特に力を入れている科」というイメージができています。

 以下に平成22年度入学生と平成29年度入学生への資格指導の比較表を記載します。

 平成22年度入学生は、クラス41名中、第二種電気工事士39名、工事担任者DD3種40名(合格できなかった1名も基礎・技術の科目合格は果たしていたので、全員合格まではあと一歩でした。)、さらに、希望者受験ではありますが、第1級陸上特殊無線技士試験では、受験者数14名に対して合格者13名という高い合格率も残しています。また、平成26年度入学生は、クラス40名全員がジュニアマイスターに認定されました。部活動が活発な本校にとってこの数は特筆すべきものであり、「文武両道を目指す」、「資格取得は力なり」、「先輩たちには負けない」という電子科の目標を達成できるように生徒たちが努力してきた賜物だと言えます。しかし、これを支える職員の負担は相当なものです。早朝課外、部活動後の個別指導、資格試験に向けた合宿など今では考えられない程の生徒達への支援があったからこそこれだけの合格者を出すことができたと思います。

今後の課題

 昨今、「働き方改革」の重要性が唱われています。また、多様化した生徒達への対応にも迫られています。電子科としての重要な資格である工事担任者DD3種の合格率もここ3年かなり低下傾向にあり、40%を切っている状況です。職員の入れ替わりがあっても変わらない指導システムが必要であり、残業時間を減らすことも課題となっています。電子科として重要視している資格の取得に絞り込み、保護者に対しての受験料の負担を減らすということも必要です。今後は、資格試験に対しての家庭学習の実施、指導する側のスキルアップおよび後継者の育成、担当者の複数指導等で生徒個々への対応を推進していきたいと思います。

【在校生の声】

■生徒A

  私は工事担任者DD第3種を取得するために試験本番の1か月くらい前から少しずつ勉強を始めました。わからない問題は、先生方に聞いたり、過去問題をたくさん解いたりして間違った場所を重点的に見直して理解を深めていきました。

■生徒B

  私はDD3種、AI3種に合格した後で先生にもっとレベルの高いAI・DD総合種を受けてみないかと勧められ挑戦してみようと思いました。やるからには1回で合格できるよう勉強を頑張ります。私はテキストをよく読んで理解を深めることから勉強を始めました。本番の一週間前からは過去問題を全問正解するまで徹底的に解き、合格することができました。

■生徒C

  私がAI・DD総合種の資格を取ろうと思った理由は、DD第3種を受験した時にアナログ伝送設備に興味を持ったことと、就職したい会社に必要な資格ということを聞いていたからです。現在11月の試験に必ず合格するつもりで3科目を勉強しています

■生徒D

 私が工事担任者DD3種を取得したきっかけは、担任の先生から通信関係の仕事をしたいなら、この資格を取っておいた方が良いと言われたからです。放課後学校で勉強したことを家に帰って復習し、数日前には、過去問題を本番と同じ時間で解き、正答率を高めることで合格することができました。今回、工事担任者試験の中でも一番難しいAI・DD総合種に挑戦し、今回も1回で合格できるように頑張ります。