電気通信主任技術者定期講習第2期の初年度(平成30年度)を終えて

日本データ通信協会 人材研修部担当部長 渡邉俊明

 平成27年度から開始された電気通信主任技術者定期講習(以下「講習」という)は、第2期目が今年度から始まりました。
 日本データ通信協会は、平成27年1月に電気通信主任技術者定期講習の唯一の登録講習機関第一号として総務省に認可された後、登録更新を行い引き続き平成30年1月から登録講習機関として講習事業を展開しています。
 講習は、資格者証の交付を受けた方が、電気通信主任技術者として事業会社から選任を受けたときは1年以内に当該講習の必要があり、また、過去に講習を受けた方が引き続き選任されている場合は3年以内に再び講習の受講が必要とされています。
 第2期目の開始に当たっては、講習テキストの改訂や、講習の事前の準備を充実させるなど、第1期の経験をもとに進め方の改善などを行い、7月の第1回東京から12月の第8回東京まですべて実施ができました。
 以降に平成30年度の講習を振り返り、取りまとめました。

1.講習の募集と講習受講者

 今年度の講習は全16日、伝送交換技術と線路技術それぞれ、東京4回、大阪2回、福岡2回が計画・実施されました。

第2期講習テキスト
講習風景(大阪会場)

 講習の募集は、平成27年度に受講して3年目の受講期限がくる方の受講申し込みを優先に、4月3日から4月17日までの2週間に優先受付期間を設定しました。これに先立って、2月上旬平成27年度修了者全員に受講案内を送付しました。
 また、5月8日からは今年度新規に受講される方も含めた一般受付を開始し、11月21日に第8回東京の受付を終了しました。
 11月末日までの受講申し込みは867名ありました(内訳図1参照)が、平成27年度の80%の受講者に留まっています。

 受講人数減少の原因は把握できていませんが、非選任の方の受講減少(非選任の方は受講は自由ですが、選任者と同じ権利を得られます。)や、事業者内での人事異動などで平成28年度や平成29年度に新規受講されたために、平成30年度が減少となったことなどが想定されます。
 また、受講者の年齢構成は、表1のとおり平均年齢50.7歳で第1期より1.4歳上がっています。60代以上の方も16.6%と第1期より2%以上高くなっています。しかし、平成27年度からの継続の方が約69%なので新規の方の若返りが見られます。

講習風景(東京会場)

 各会場別の受講者の状況を表2に示します。

2.選任事業者

 講習修了者や選任している電気通信事業者の名称は総務省への報告事項となっています。
電気通信事業者には総務省に電気通信事業者として登録している登録事業者(325社平成30年12月1日現在)と、それ以外の事業者(届出事業者)の2種類あります。
 今回受講の登録事業者はそのうちの約7割の事業者でした。また、講習を申し込まれた届出事業者は94社ありました。
受講者のうち複数の事業者から選任されている方は38名、選任事業者数は96社に及んでいます。また、選任先が複数県となる人は11名、9社ほどありました。
 受講者の中で2つの資格(伝送交換技術、線路技術)を持ちどちらも選任されて受講された方は179名で、伝送交換で35.6%でした。

3.修了考査及び修了証の発行

 修了考査は講義の終了後に行いますが、今回の修了考査の合格者は100%でした。(修了考査は30問の出題を40分間で解いてもらうもので、70%の正解(21問)で合格としています。)
 科目ごとの出題の割合は告示で指定された講義時間に連動させて、概ね技術6割、サイバーセキュリティ2割、関連法規2割としています。なお各回の正解率は表3の通りでした。
 平均正解率は伝送交換94.3%、線路95.3%と平成27年度と比較すると高く、事前課題による予習の効果が出たものとなりました。修了考査全体の得点分布を図2-1(平成27年度)、図2-2(平成30年度)に、また、科目別の正解率を表4に示します。平成27年度では、26点以上の方が71%でしたが、今回は93%の方が26点以上となりました。

 

修了考査模様(東京会場)

 講習を終了し、修了考査に合格した方には次回の講習期限を記載した修了証を発行し、同時に総務省へも報告を行っています。

4.その他

 受講者への各会場における講習実施のアンケートでは、今回選定した東京、大阪、福岡の会場はいずれも駅から至近距離にあり、設備も充実していたため、受講者の皆さんからは好評価をいただきました。
 受講者の感想には、テキストの事前配布や事前課題の提供など、平成27年度とは異なった進め方により内容理解のスピードアップなどにつながったと、新しい施策への評価は良いものでした。
 講義の個々の感想では、サイバーセキュリティの講義について、普段の業務であまり立ち入ることがなかった受講者でも、日常業務の中で情報のセキュリティに対してどういうところに気を付けなければならないかなどの新しい知見も得ることができたようで、受講できてよかったとの感想が多く寄せられました。

5.今後

 講習は回を重ねるごとに前回の反省点を踏まえて都度改善してきていますが、受講者の目線で見れば、受講申請の申し込みから実際に講習を受け修了証を手にするまで、それぞれのところでまだまだ改善の余地がありそうです。
 今後は第2期初年度の振り返りを踏まえ、改善点などの洗い出しと改善計画を経て、受講者の方々がより充実した講習の受講ができるよう第2期2年目への取り組みを進めてまいりたいと思います。