平成29 年度 電気通信主任技術者定期講習を終えて

一般財団法人 日本データ通信協会
人材研修部 部長代行 飯田 秀男

平成27年度より電気通信主任技術者定期講習制度がスタートし、平成29年度の講習は4月に公示、7月より受付を開始し、9月と12月に伝送交換技術・線路技術の各2回(計4回)を東京で実施した。
第1期である平成27~29年度までの3年間の講習を振返り、取りまとめた。

 日本データ通信協会は平成27 年1月に電気通信主任技術者講習の登録講習機関001 号として総務省に登録され、同年7月に第1回目の講習を開始して以降東京・大阪・福岡・名古屋で伝送交換技術と線路技術の講習をそれぞれ14 回(平成28・29 年は東京で各2 回)実施してきた。

講習風景
講習テキスト・追補版

1.受講者

 第1期講習修了者は1,474名で、内11%ほどが受講時点で非選任の受講者であった。年齢は、平均年齢が50歳で、60歳以上の割合は15%であった(平成29年度講習修了者:188名、内約6%非選任。平均年齢48歳、60歳以上7%)。

 本講習では、電気通信主任技術者資格者証を取得していて選任されていない方でも受講することが可能で、修了者には選任されている方と同様の修了証を発行している。このため、将来選任される予定の方や、知識向上のためにも受講されることを奨励しており、選任後は講習の有効期限内において受講不要となっている。


図表1:受講者内訳(27+28+29年度)
図表2:受講者の年齢(27+28+29年度)

2.選任事業者(複数社選任)

 講習修了者は総務省への報告事項となっており、あわせて選任している電気通信事業者の名称も報告事項となっている。そのため選任している電気通信事業者を確認する必要がある。登録事業者は316事業者(2月末現在)あり、受講済み事業者は第1期合計(以下「累計」と言う)で約80%に留まった。非選任で受講された方が選任となったかは不明であるが約70登録事業者が全く受講していない形となっている。この他、受講期限の切れていた方が平成28+29年度で35名存在した。

 また、選任受講者中の累計52名が1社ではなく複数の事業者から選任されており(52人で延べ147社から選任)、県間をまたがる選任も累計27名ほどいた。

 これらについては法制度改正後の1期目でもあることなどから、「都合が悪く講習期限を超えますがよろしいですか」と、協会に問い合わせる方があるなど十分に周知・理解されているとは言えない状況にあることから、総務省関係部署にて十分に管理・指導して頂く必要があると言える。

 なお、この講習は資格者証の種類ごとに、受講する必要があり、両方を兼任されている方の比率は選任の伝送交換技術者で29%と約3分の1であった。

3.修了考査

 第1期修了考査合格率は97%で、不合格者は41名であった(平成29年度合格率98%、不合格者4名)。省令では「修了考査は、講義の終了後に行い、受講者が講義の内容を十分に理解しているかどうか的確に把握できるものであること」とある。しかし、1日の短時間の講義で全てを記憶することは大変なことと言えることから、修了考査は講義で説明したところを中心に40分間30問、〇×式で回答する方式をとり、また、合格基準は講義に集中できるよう、70%以上としている。

 出題者は「落とすことが目的ではない」ので、いわゆる「ひっかけ」の問題を作らないように配意して、正解率が85% ~90%の問題となるように作成しており、結果も想定通りとなっている。

図表3:実施年度別正解率
修了考査風景

4.講習修了者・修了証の発行

 第1期の平成30年2月末の講習修了者は累計で1,474名(内平成29年度188名)であった。

 講義にすべて出席し、修了考査に合格した講習修了者には、修了証に次回の受講の期限を記載して発行するとともに、選任されている事業者名を含め総務省への報告を行っている。

 次回の受講の期限は「講習の行われた日の属する月の翌月の1日から起算して3年以内」となり、例えば平成27年7月の講習修了者は平成30年7月31日までに受講することとなっている。

5.平成30年度を迎えて

 平成30年度は27年度受講修了者(1,095人)の3年の有効期限ともなっており、第2期のスタートでもあります。昨年10月に登録講習機関の更新申請を行い、2月に公示し案内状を送付して、受講もれのないよう周知を行った。30年度は東京・大阪・福岡で7月から12月まで伝送交換技術・線路技術の各8回(計16回)定員1,220名を計画するとともに、27年度講習修了の方はその受講同月までに受講しなければならないことから4月より優先して受付を開始し、一般の受付を5月からとした。

 また、テキストを告示に合わせ一新するとともに、事前配布や事前課題などにより短期間ではあるがより充実した講習となるように準備を進めている。あわせて法改正などに伴い講習後テキストの内容が変更になるなどのケースがあることから、テキストへの追補版を作成するなどすでに修了証を取得済みの方に提供するアフターフォローを実施していきたい。

お問い合わせ
日本データ通信協会 電気通信主任技術者講習担当
03-5907-7575(平日10時~16時)
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