
株式会社群電
通信システム部 課長
小布施裕士(おぶせ ひろし)さん
「工事担任者」は、総務省所管の国家資格です。「工事?」、「担任者?」 初めて、この名前に接する人には、いったい何の資格なのか、よく分からないかもしれません。
実は、ここで言う“工事”とは、端末設備などの電気通信設備と電気通信事業者のネットワークを接続する工事のこと。電気通信事業法、有線電気通信法などの法律や、それらの法律に基づく命令に準拠してネットワーク工事を行うには、工事担任者の資格が必要なのです。https://www.shiken.dekyo.or.jp/charge/about_charge.html
工事担任者が、実際にどのような仕事に従事しているのか、工事担任者はどんな人たちなのか。様々な分野や組織で働く彼らの生の声を紹介します。
-小布施さんが高校生の頃のことを教えてください。
私は工業高校の電気科に入学しました。部活を熱心にやる学校でしたので、私はラグビー部に入っていましたが、周りでも何かしらの部活をやっていた人がほとんどでした。
-そうですか。それだと資格をとるための勉強時間を確保するのも大変ですね。
そうなんです。電気工事士は資格を取るための授業の枠があり、第二種電気工事士は取りましたが、第一種電気工事士やその他の資格は社会人になってから取りました。
-高校卒業後は短大に進まれたのですね。
はい、電気系の短期大学に入学しました。普通高校出身者と工業高校出身者が一緒のクラスにいましたが、一般教養などの授業は普通高校出身者が得意で、工業系の専門授業は工業高校出身者が得意なこともあり、お互いに教え合っていました。
私の入った学校は、4年分の授業を2年間でやる学校で、アルバイトとかもできないくらい忙しかったです。4年制の大学への編入の道もあったのですが、私は2年で卒業して就職しました。
-その後、地元の群電に入社されたのですか?
いえ、卒業してすぐは群電と同じ電気通信系の工事会社に入りました。小さい頃、親の転勤が多かったせいか、私は地元である群馬で転勤のない会社がよいなと思って平成8年に中途採用で群電に入りました。

-今はどんなお仕事をされているのですか?
官公庁や民間企業がお客様で、IP-PBX※の設置や定期メンテナンス、故障修理などを行っています。故障があるとお客様から電話や問合せがあり、お客様のところへ行って故障の原因を調べ、修理します。私のグループは4人で、基本的に1件の修理を一人で対応しますが、修理件数が多い時には、となりのグループに協力してもらうこともあります。
※IP-PBX=インターネット回線を活用した電話交換機
-故障修理は難しいと思いますが、どんなところに仕事の楽しさややりがいがありますか?
お客様に修理のスピードが速いですねと言われたときです。「さっきまでいろいろいじっても直らなかったのに、来てもらったらすぐに直った」と言われるとやりがいと喜びを感じますね。
故障修理では、故障が継続していれば原因も調べやすいのですが、現象が再現しないときが一番難しいです。そういう場合は予想される状態にちょっと変えて試してみたりして少しずつ直していく感じです。
-小布施さんの平日の1日を教えてください。
朝は6時半頃に起き、8時前には会社に着きます。お恥ずかしいですが、出社してからはすぐに事務所に入らず、外で仲間と話をしています。世間話をしながら仕事の話をしたり、その日の作業準備をしたりしています。
お客様先にはだいたい半日単位で行くことが多いですね。1日に2件程度、多くて4件くらいです。業務終了は5時半ですが、終わらなければ残業もします。休日の修理対応も行いますし、システムの更新工事は土日がほとんどです。
-では、工事担任者についてお聞きします。今お持ちの資格の種別は何ですか?
前の会社の先輩から工事担任者という資格があると教えてもらい、最初にアナログ第二種という資格をとりました。独学で勉強しましたが、最初は通信関連の用語がわからず大変でした。その後、アナログ第一種、デジタル第一種を取り、資格種別名が変わったあとにDD第一種(現「第一級デジタル通信」)を取りました。
教えてもらうまでは電話工事というものがあるということも知らなくて、工事担任者という資格があるということも知りませんでした。今でも、電話工事の仕事=電気工事と思っている人は多いと思います。
-社会人になってから資格取得されていますが、仕事が受験勉強に役に立ったということはありますか?
入社してすぐに取ったので、逆にこれは工事担任者の試験で出てきたなと仕事をしていて思うことはありましたね。
資格を取ろうと思ったのは、若い頃お客様のところへ行った時に「若いけど大丈夫なの?」と言われるようなこともあって、資格者証をぶら下げてこういう資格をもってやっていますという形を取りたかったからです。
-なるほど、確かに技術力の証明にもなりますからね。会社からも資格を取るように言われるのですか?
はい、最近は電気工事士を持っている新人もいますが、持っていない新人は会社から第二種電気工事士を取るように言われます。その後、通信系の部署に配属となったら、工事担任者を取るように参考書を渡して、空き時間に勉強してもらっています。基本的に独学で、仕事の合間に勉強しなければならないので、どうしても時間に制約が出てしまいますね。
-資格を持っていると会社から手当は出るのですか?
工事担任者には資格手当があります。第一級の資格でいくら、第二級の資格でいくらとなっています。あと、電気工事士にも手当はあります。
-ちなみに、現役の高校生だとどれくらい勉強すれば資格を取れるものですかね?
第二級デジタル通信だと、電気通信系の勉強をしている工業高校生であれば数か月くらいじゃないでしょうか。試験科目の「基礎」の問題は学校の授業で習う内容が多いので、技術と法規を頑張ってほしいなと思います。
- 最後に今の高校生に一言お願いします。
電気系の高校生であれば、工事担任者、電気工事士、第一級陸上特殊無線技士などの資格を幅広く取っておくのがよいと思います。
私は工事担任者の資格の存在を知らなかったため取得しておりませんが、授業で習ったことを覚えているうちに受験した方が取りやすいですし、社会人になって仕事しながら勉強するのは大変なので、在学中に取っておくことをお勧めします。
資格は勉強した証明にもなりますし、技術力の証明にもなりますので。
-ありがとうございました。
【DATA】
- 企業名:株式会社群電
- 本社所在地:群馬県前橋市大渡町一丁目19番地6
- 設立:1953年9月
- 事業内容:電気通信設備工事業、情報通信設備工事業、
映像機器設備工事業、電気設備工事業、
太陽光発電事業 - URL:https://gunden.com/