【工事担任者の仕事Vol.17】資格取得が仕事の理解をより一層深めます

NDS株式会社
名古屋支店 営業部 SE担当
河野 祐杜(かわの ゆうと)さん

NDS株式会社は東海地方を中心に通信設備工事業をはじめICTソリューションサービスなども手掛ける企業です。宮崎県の工業高校出身の河野さんが名古屋に本社があるNDSを選んだ理由、北海道での仕事、お客様対応での苦労などを経て、入社10年目となった今、自分のやりたいこと、目指していくことなどを語っていただきました。

~宮崎から名古屋の会社へ~

-河野さんは工業高校の通信工学科のご出身とお聞きしました。

 はい、私にとって電気は少し難しいなと思っていたのと、通信工学は中学ではあまり聞いたことがない科目でしたが、当時でも当たり前のように使っているインターネットなどに関わることができる学科で面白そうだなと思い入りました。

-高校時代はどのような資格にチャレンジされましたか?

 最初に第二種電気工事士、次に第二級陸上特殊無線技士、ITパスポート、工事担任者のDD第三種(現在の第二級デジタル通信)を取りました。
 通信工学科では2年生の時にクラス全員がDD第三種にチャレンジします。また、私は就職先が通信工事会社だったので、3年生のときにDD第一種も取得しました。当時はクラスで6人ぐらいがDD第一種にチャレンジしました。

-就職先にNDSを選んだ理由を教えてください。

 勉強した通信の知識を活かしてネットワーク系の仕事をしたかったのですが、プログラミングなどではなく、体を動かす工事の仕事の方がいいなと思い、通信設備工事会社であるNDSを選びました。

-河野さんは宮崎のご出身ですが、どうして東海地方を拠点としているNDSを選んだのですか?

 大きな理由はないですが、トヨタ自動車と関連する会社に就職して愛知県に行く友達が多かったので、私も愛知に行きたいなと思って名古屋にきました(笑)
 私の高校では、だいたい半分くらいが県外の会社に就職していました。

~北海道でマンホール探し~

-2016年のご入社ですが、最初はどんな仕事をされたのですか?

 入社して半年の研修があり、マナー研修などの他、光回線の接続や電柱に登っての作業などを研修センター内で実施しました。
 10月には名古屋支店のエンジニアリング部に本配属となり、現場に出るようになりました。当時は光ケーブルの敷設工事で北海道へ長期出張もしていました。

-NDSは東海地方の仕事だけでなく全国で工事をやっているのですか?

 基本的に東海地方の工事を行いますが、それ以外の地域の工事を行うことがあります。北海道の案件は地元の通信工事会社が通信事業者から受注し、NDSが工事を実施していました。
 西日本に位置する東海地方と東日本の北海道では、工事のやり方が違います。例えば、電柱が立っている道路沿いに光ケーブルを敷く場合、東日本だと道路からみてケーブルを裏に張っていくのですが、西日本では逆です。そのような違いも委託を受けた会社から指示を受けて工事を実施しました。

-北海道での勤務時に大変なことはありましたか?

 光回線への切り替え工事の場合、昼間に工事をするとサービスが停止してしまうため夜間に行うのですが、北海道の冬の夜は寒くて大変でした。光ケーブルを地中に敷く場合はマンホールに入って作業をするのですが、冬場はマンホールが雪に埋もれており、まずはマンホールを探すことから始めていました。

-冬の北海道での夜間工事は大変ですね。その後、仕事は変わったのですか?

 北海道での工事を3年ほど担当した後、個人のお客様向けの光回線や電話の開通作業を担当するユーザサービス部に異動しました。
 お客様が通信事業者の光回線を契約したら、開通工事の依頼がうちの部署にきます。実際にお客様宅に行き、近くの電柱に登って光回線を宅内に引き込んで、開通作業を行います。

-お客様宅で作業するということはお客様とのやり取りもあるのですね。

 私にとってはそこが一番苦労したところです。前の部署のエンジニアリング部ではチームのメンバーとしか会話せず言葉遣いなど気にしていませんでしたが、お客様相手だと言葉遣いに気を付けないといけないし、どんなお客様だろうかと思うと緊張もしました。
 あと、クレームを受けたことも何回かありました。

-どういうクレームがあったのですか?

 工事のオーダーがくる時には訪問時間枠の指定があります。例えば9時からとか、午前中とか。ある時、9時からと午前中の2件のオーダーがあり、9時からのお客様を先に訪問しました。そこでスムーズに作業できればよかったのですが、トラブルがあり1件目だけで11時を過ぎてしまい、2件目の午前中のお客様から「こちらは午前中で待っているのだけど」と電話が来てしまいました。

-1件目で予期せぬことがあり、予定どおり終わらないということがあるのですね。

 自分の作業遅延だけでなく、お客様が遅れてきたことで作業が始められないといったこともあります。通信事業者の受付にお客様から連絡が入るのですが、受付の人は我々がどういう動きをするのかわからないので、「9時ぐらいには来ると思いますよ」と連絡していたようで、時間になってもなかなか来なかったためクレームになってしまいました。
 最終的には部長にお客様宅にきてもらって謝罪し、おさまりました。

宅内ユーザサービス部は1年ほどの在籍でしたね。

 はい、その後は同じユーザサービス部で、個人宅ではなく法人のお客様向けにビジネスホンやインターネットなどの工事を行うための設計業務を行うグループに所属しました。電話の数や部署毎の番号配置など、お客様の要望を聞いて設計に落とし込み、工事まで行います。このころはお客様との会話もだいぶ慣れてきてやりやすかったです。

-そのあと、今の営業部に異動されたのですか。

 ユーザサービス部は通信事業者からの工事を担当し、営業部は通信事業者以外からの工事を担当しています。営業部といっても営業活動だけではなく工事も行います。
 時期によっては残業もあり、今(5月)のように落ち着いている時期もありますが、年末や年度末は忙しいです。

-いろいろな部署を経験されていますが、どういった仕事が自分にあっていてやりたいなと思いますか?

 宅内業務が自分のイメージしていた通信の工事でした。エンジニアリング部での工事はひたすら光ケーブルを敷く作業でしたので、世の中の役には立っているとは思いつつも、ただの作業者になっている気分でした。今の仕事はお客様から要望を聞き、それを設計に落とし込んで工事をする。やったことのアウトプットがちゃんとお客様に直接伝わり感謝されるので、それが実感としてわくことが楽しいです。

~仕事の理解度アップ&新たな仕事の機会を増やすために~

-資格の話に戻ります。工事担任者の総合通信はいつ取られたのですか?

 3年前に法人のお客様向けの設計業務を担当していた頃です。会社として資格を取得していこうという取り組みがあり、その時にチャレンジしました。
 取得すると一時金が出ます。また、受験料は会社が負担してくれました。

-会社に入って6,7年経ってから取られたのですね。仕事しながら勉強するのは大変ではなかったですか?

 勉強はしましたが、高校の時よりも業務を通して知っていることが増えたので、技術科目は呑み込みが早かったです。だいたい試験の2~3か月前から仕事の隙間時間や帰宅後や休日などに勉強しました。

-基礎科目は工業高校の授業などで出てくる内容だと思いますが、学んだ内容を覚えていましたか?

 いえ全然(笑) ただし、法規科目は昔勉強した内容を少し覚えていました。
 教えてくれる人がいないので参考書を買い、ひたすら過去問題を解きました。解いて解説をみての繰り返しです。

-今後取ろうとしている資格はありますか?

 CISCO社の製品を扱うことが多いので、CCNAの資格に挑戦してみようと思っています。

※Cisco Certified Network Associate シスコシステムズ社が認定するネットワーク技術者向けの資格

-工事担任者は仕事上持っていないといけない資格ですか?

 工事のやり方は先輩に教えてもらえますが、その工事の通信の仕組みなどが復習でき、細かく理解できるようになることが資格取得のよいところかなと思います。仕事だけではわからなかったことが、さらに深く理解できます。
 仕事は感覚や経験でもできますが、資格を勉強することでその背景を理解し、作業の正しさなどの裏付けをつけることができます。

-今後どういった仕事をやっていきたいですか?

 Wi-Fiを取り入れることが多い介護施設や病院のような大きな施設向けの工事で、他の工事会社も参画するような大規模工事の現場監督をやっていきたいです。
 最近担当した仕事の中で、7月にオープンする大型アリーナ内にある飲食店舗のPOSレジなど決済端末の設置用のLAN回線工事があり、3月に協力会社と共に実施しました。そういった工事を今後もやっていきたいです。

※Point of Sale 販売時点情報管理システムを搭載したレジ

-資格取得に対してはどうお考えですか?

 資格の有無で仕事の覚え方、理解度が変わってくると思います。持っていると自分のためになりますし、もしかしたらその資格を使っていろいろな工事に参画できるきっかけになったりもします。仕事を始めると資格を取るための時間が取れなくなるので、学生時代に取っておけばよかったと思うことがあります。学生時代は時間があるうちに自分でとりたい資格を一生懸命取った方が将来につながるかと思います。

-どういう資格を取ればよいかわからない学生もいると思うのですが、どのようにすればよいでしょうか。

 資格の有無でその業務に従事できるかどうか決まる資格があります。自分がどこの会社でどんな業務をしたいのかを決め、その業務を実施するにはどの資格が必要かを先生に相談するのがよいかと思います。

-ありがとうございました。

【DATA】

  • 企業名:NDS株式会社
  • 本社所在地:愛知県名古屋市中区千代田2-15-18
  • 設立:1954年5月
  • 事業内容:・総合エンジニアリング事業
           通信設備エンジニアリング
           電気設備エンジニアリング
           土木エンジニアリング
         ・ICTソリューション事業
           ICTソリューションサービス
           ビジネスサポートサービス
         ・住宅不動産事業
  • URL:https://www.nds-g.co.jp/