株式会社マイプレシャス

株式会社マイプレシャス 代表取締役
蔵野 正嗣 氏

カタログギフトの企画・開発・生産・販売を手がける㈱マイプレシャスは、引き出物に始まり、結婚内祝い、出産祝い、還暦祝いなどエンドユーザーの様々なライフステージに適応するギフトを提供してきた。今後の更なる業容拡大に向けて同社が取組み始めたのが、プライバシーマーク取得を通じた個人情報の管理強化である。

―貴社の業務について教えて下さい。

 当社は、1965年に神奈川県下の百貨店、結婚式場、飲食店へ食器の卸問屋として設立いたしました。その後ブライダルギフトに特化し、引き出物で利用するカタログオーダーギフトの開発・販売を始め、2004年にはアルバムタイプの選べるカタログギフト「マイプレシャス」を発売、「贈る人」と「贈られる人」の絆を結ぶことを目的としたギフトを数多く企画・開発してきました。

 中でも代表的なギフト「メンズレディスコレクション」は、男性用・女性用に厳選されたアイテムがお選び頂けるカタログギフトです。カタログギフトは「大勢の方に贈るとき」「大切な方の好みが分からないとき」「本当に欲しいものを選んでもらいたいとき」等にとても喜ばれる贈り物です。しかし一方で、味気ないと思われてしまう一面がある事も事実です。心を包むカタログギフト「メンズレディスコレクション」は、カタログギフトでありながら、ひとつひとつが、まるで贈る方が大切な方のために贈り物を選んだかのような「あなたのための」カタログギフトです。アルバムとしてもお使いいただけ、普通のカタログでは味わえない選び終わった後の楽しみも一緒に贈れるギフトになっています。

 他にも、出産祝い専用カタログギフト「ベビーセレクト」、食器+専門店のカタログギフト「テーブルストーリー」など顧客のニーズに合わせてお役に立てる商品を開発しています。今後も多くのお客様にお選びいただけるよう邁進していきたいと思っております。

―Pマークを取得しようと考えたのは何故ですか?

 当社では、カタログギフトを受け取ったお客様からの申し込みハガキの受付けやECサイトでのギフト販売も行っているため個人情報の取り扱いについて特にしっかりとした管理体制が必要だと感じていました。

 更にブライダル市場だけでなく、今後需要の高まっていくメモリアル市場での販路拡大を考えた際、サービスの一環として芳名帳のデータ化や、香典返しの個人宅あて配送サービスを提供するため、お客様の個人情報を多くお取り扱いする必要性が出てきました。そこで、お取引先様やお客様に安心して贈り物の手配を任せていただけるよう、認知度の高いプライバシーマークの取得に取り組みました。

 また、プライバシーマーク取得までの経緯を通じ、事務局や各部門責任者を中心に個人情報管理に対する意識や知識が高まり、実質的なリスクマネージメントも大きく進んでいくと思いました。

―仕組みを整備する上で難しかったこと、力を入れたことは何ですか?

 まず一通りの「個人情報マネジメントシステム(略称PMS)」を整備し、運用を実施するところから時間がかかりました。個人情報管理台帳の整備では台帳に記載されている個人情報の項目が多く、部署によっても同じ項目が書いてあったり、書いていなかったりと基準がバラバラでした。

 そこで、まずは業務の中で該当する個人情報の洗い出しするところから整理していこうと、各部署と事務局で協力しながら目的に合わせて当社として重点的に管理する事項を決めました。これにより部署間で同じ基準を持って個人情報管理台帳の取り扱いと運用の認識をそろえることができました。

 また、全社員に対して教育を実施することで個人情報の取り扱いについて管理していくことの意識付けを行いました。形骸的なプライバシーマークの取得ではなく、実質的な管理体制の強化を実現するために、分かりやすい資料を揃え、具体例を用いながら事業所ごとに説明会を行いました。分かりやすく伝え、全社員の腹に落ちたかを課題として取り組みました。

―審査を通じて感じたことを教えて下さい。

 今回の審査を通じて「当社に合ったルール」に変えていくことが、継続してPMSを運用してくために重要だと感じました。PMSのひな型に沿って教科書通りに実施してきましたが、今まで当社で行っていたやり方と違い、違和感を抱くことも多くありました。例えば、PMS運用の中で来客頂いたお客様へ「入退受付票」を記入していただいていました。滞在時間の短いお客様や得意先様などにも書いていただくことに抵抗感を持っていましたが、「お約束しているお客様であれば事前に記入しておく」「来客スペースを隔離することで記入してもらわなくても対応できるようにする」など既定のルールに縛られずに、違和感を抱いた場合にはルール自体を見直して自社に馴染ませていくことをご指導いただきました。既定のルールを無理やりな押し付け管理で守り続けると無理が生じ、きっと挫折してしまうだろうと思いました。当社に馴染み、日常に合った管理をすることで継続性と確実性につながってくるのだと感じました。

 指摘事項から感じたこともあります。改善報告書に「個人情報管理台帳作成基準を作成し、共有する」と記載したことに対して、報告書に書くことは簡単ですが重要なのは改善事項を一時のものとせずに、きちんとルール化して今後運用できるような仕組みにすること。それを実施してみて初めてPDCAサイクルが回るということをご指摘いただきました。報告上では一見正しい回答を並べていましたが、実質的には原因の深堀と運用改善が全く出来ていないことに気づきました。そこで、改善事項として作成した個人情報管理台帳作成基準をPMS文書で管理する対象に追加し、見直しを誰が、いつ、どのように行うかを規程に追記しルール化することで改善事項が検証できる仕組みにすることができました。

 審査前日までは、運用状況などの指摘がされるだけだと思っておりましたが、当社がどうやったらPMSを継続して運用していくことができるかのアドバイスを多くいただくことができ、このやり方だったらPMSの運用が継続出来そうだと感じることができました。

―今後強化していくべきだと考える点はありますか?

 ブライダル市場が縮小傾向にある中で、メモリアル市場などの新しいお客様のニーズを読み取り、お役立ち出来る商品を提供して行くと共に、サービス面での品質の向上にも取り組んで参りたいと考えております。

 そのためにも個人情報の取り扱いは非常に重要で、お客様から安心して贈り物の手配をお任せいただけるよう、しっかりとしたPMS運用を構築していく必要があります。全社員が個人情報保護の重要性を日常的に感じ、無理なく個人情報の管理ができるよう、PMS運用のPDCAサイクルを回し、当社に合った管理体制を構築することに継続して取り組んでいきたいと思います。

【企業プロフィール】
会社名:株式会社マイプレシャス
所在地:神奈川県横浜市保土ヶ谷区神戸町134 横浜ビジネスパーク ノーススクエアⅠ 2階
代表者:代表取締役 蔵野正嗣
設立:昭和40年5月20日
ホームページ:http://www.myprecious.co.jp/